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堅苦しいイメージは大間違い!? 「共存共創」を軸に常に新しい社会貢献にチャレンジする八芳園

2020.08.11 (火)

 
「厳しい情勢ではありますが、同時にチャンスだという考えも持っています」

 こう力強く語るのはレストランや結婚式場を運営している株式会社八芳園の総支配人室部長の薮嵜正道さん。新型コロナウイルス拡大の影響により、社内でも創業以来の苦境だと認識しているそうですが、薮嵜さんの言葉からも理解できるように、同社は苦しい状況の中でも希望を捨ててはいません。

 2020年6月15日、レストランや結婚式場を運営している株式会社八芳園は、新型コロナウイルス感染拡大防止による緊急事態宣言解除後のスローガンを「あなたと生きる、地球を想う。」と定め、これまでの目標としていた「エシカルの思考」「共存共創」「助け合い」という3つを真摯に取り組んでいくことを宣言しました。

 コロナ禍により国内外が大変な苦境に見舞われるこの時期に、新しい目標を定めた理由はどういったところにあるのでしょうか?

 同社は結婚式を通じ、「社会の多様性」「共存共創」に取り組んできました。2015年10月に海外のゲイカップルが同性婚の挙式を八芳園で行ったことが報道されましたが、実は、このカップルは他の式場で散々断られ、困っていた経緯があり、その事情を知った同社が挙式を引き受けることにしました。断るホテルも多くある中で、即断即決できた背景には、同社の“日本のお客様には心のふるさとを。海外のお客様には日本の文化を。”という精神が強く影響しています。

 企画セレクション部課長の池田真由美さんは、「我々はお客様や関連企業など、様々なパートナーの力を借りて、共存共栄の助け合いをしています。今回のコロナでも、今まで式を挙げてくれた方々がSNSで応援メッセージを送ってくださったり、サプライヤーである台湾の企業様が従業員に対してマスクの援助をしてくれました。わたしたちも、助けられることがあれば助けなければいけないと思っています」と語ります。
 

「オーガニック」を先取り! 業界初の低アレルゲン料理も開発!

 
 八芳園は1950年に創業。そのため、食に関する社会貢献を積極的に推進しています。まだ「オーガニック」という言葉が定着する以前から自然栽培の食材使用に力を入れていたのです。
 

 
「地球環境に良いものは体にいいだろうという考えが根付いており、自然栽培へのこだわりを持っていました。『奇跡のリンゴ』で知られる木村秋則さんとコラボした食材や環境イベントなどを開催しているのもその一環です。去年は、親子連れを招いて自然食品の試食を行いましたが、子どもの方が自然食品の方が味もいいという割合が多かったですね。それはどれだけ我々が、添加物を使った食材に慣れてしまっているかの証明でもあります」(薮嵜さん)
 

▲「奇跡のリンゴ」とコラボしたデザート
 
「体に良いもの」を追求した結果、八芳園は革命的な取り組みにチャレンジし、業界に大きな衝撃を与えます! 2017年に結婚式業界では初の7大アレルゲンを除去した低アレルゲン食材の提供を開始したのです。そして2019年には「食のバリアフリー化」を目指してムスリム向けのハラール食材やヴィーガン対応食の取り組みを強化しました。
 
「結婚式の料理には伊勢海老などの甲殻類は欠かせないですが、甲殻類アレルギーの方は他の人が伊勢海老を食べているなか、鯛のカルパッチョのような代用料理が提供されています。そこで弊社では、業界で初めてアレルゲンを除去した食事を提供しようということになりました。最初は同業者から『うまくいかないでしょ!?』と懐疑的な意見も多かったですが、何度も試行錯誤をし、コースメニューを作ることが出来ました。今では他社も導入しているところがあります」(薮嵜さん)
 

▲低アレルゲンの婚礼料理
 
 アイデアだけならば簡単ですが、実現するためにたくさんの課題をクリアしました。甲殻類以外にも、ケーキを提供する関係で、同じく7大アレルゲンである卵や小麦もNGです。調理担当の料理人とも相談して、米粉で代用したケーキを提供しています。“お客様のしあわせをつくる”、その一心でメニュー開発に取り組んでいます。
 

 
 また、食材以外のものに関しては、プラスチックストロー廃止への取り組みに伴い、トウモロコシのでんぷんなどを原料とした「生分解性ストロー」を取り入れています。他にも八芳園内にある、レストランのテイクアウト用のランチボックスは発泡スチロール製から紙製に変更しています。
 

 
「こうした消耗品の切り替えによる調達コストは従来の20~30%上昇しましたが、『あとで必ずコスト分は返ってくる』という意見が殆どで、社内では反対の声はありませんでした。現に今回のコロナで、紙の容器は環境負荷も感染リスクも軽減できると評判になっています」(池田さん)
 

「結婚式場」ではなく「生涯式場」を追求!

 新スローガンのもと14のサステナブルな取り組みをホームページで公開している同社。SDGsの17の目標と照らし合わせると、非常に幅広く取り組んでいます。
 
「今まで当たり前にやってきた試みにSDGsの17の項目を紐づけしているにすぎません。ただSDGsという言葉ができたことで、どの分野の取り組みがどれに紐付いているかがわかりやすくなり、お客様やサプライヤー、関係者の方々に理解してもらいやすくなったと思います」(薮嵜さん)
 

▲八芳園の「サステナブルアクション」公式サイト
 
 食に関連する活動で現在八芳園は福島県立岩瀬農業高等学校の生徒と甘酒作りを通じて、グローバル(Global)とローカル(Local)という言葉を掛け合わせたグローカル(Glocal)ビジネスを展開しています。その活動を通じて、学生独自の視点や能力の高さに感動し学生の固定概念にとらわれない感性に注目しているそうです。
 

▲岩瀬農業高等学校の生徒と作った甘酒
 
「八芳園という社名から堅苦しいイメージを持たれがちですが、昔から常に新しいことに挑戦していく社風であり、実はベンチャー企業のような会社で、“良いことはすぐに実行”といったスピード感があります。また、私どもは『結婚式場』を『生涯式場』と呼んでおり、結婚式はあくまでもひとつの出会いを祝う場と認識しています。今後は、より一層『結婚式』だけにとどまらず、様々な出会いの場を提供していく企業へと変貌していきます」(薮嵜さん)

 その変貌を遂げるには「若者の力と柔軟な発想が必要です」と薮嵜と池田さんは伝えます。これからも八芳園は、式場の枠を超え、より一層真剣に社会課題に取り組み、これからの社会のためにできることをどこまでも追い求めていきます。
 


▲縁(円)を大事にしている八芳園。農家さんとの信頼関係もバッチリ! 右が星野農園さん、左が秋庭農園さん

八芳園「サステナブルアクション」公式サイト

https://www.happo-en.com/csr/sustainable_action/

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