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LGBTとのコミュニケーションで注意したいポイント

2017.11.21 (火)

 日本人口の7.6%、つまり約13人に1人がLGBTという調査結果、さらに社会における「ダイバーシティ」推進の背景もある中、LGBTの人に対して、どのように対応したらいいのか、わからない人も多いだろう。具体的にどのように接すればいいのか、NG言動は何なのか? LGBTの子供若者の支援をしている特定非営利活動法人「ReBit」の代表理事で、自身は女性の身体で生まれ、男性と自認するトランスジェンダーである藥師実芳(やくし・みか)さんに、LGBT当事者に“やってはいけないこと”を聞いてみた。

 まず、LGBTの自死未遂率、希死念慮(死にたいと思う)の割合はLGBTでない人より高いとされ、性同一性障害者の約70%が自殺を考えるというデータもある。特に希死念慮が高まる時期は、第二次成徴期である小学校高学年~高校の間だという。宝塚大学看護学部日高庸晴教授が実施したオンライン調査「LGBT当事者の意識調査 ~いじめ問題と職場環境等の課題~」(国内在住の有効回答数15,064件)によると、学校生活(小・中・高校)における「いじめ被害」は全体の6割が経験、学校教育における「同性愛について」の知識では、「一切習っていない」が全体の7割、「異常なものとして習った」「否定的な情報を得た」が2割超という結果だった。
 

「LGBT当事者の意識調査 〜いじめ問題と職場環境等の課題〜(研究実施者:宝塚大学看護学部日高庸晴教授)」より
 
 藥師さんは、「学校でも日常でもLGBTに関する正しい情報が子どもたちに伝わらないことや、教職員や周囲の大人の知識や理解の不足から適切なサポートができまいことで、LGBTの子供たちは、自己否定や他者からの否定を受けやすい状況にある」と分析。

 この状況を受け、政府も学校現場の指導について進めている。2016年、教職員向けマニュアル「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細やかな対応などの実施について」を公表。

 「学校内外に『サポートチーム』を作り、『支援委員会』(校内)やケース会議(郊外)等を適宜開催しながら対応を進めること」、「当事者である児童生徒やその保護者に対し、情報を共有する意図を十分に説明・相談し理解を得つつ、対応を進めること」などの支援体制について記載されている。また、学校生活の各場面での支援について、「自認する性別の制服・衣服や、体操着の着用を認める」「職員トイレ・多目的トイレの利用を認める」など事例を挙げ、他にも「髪型」「更衣室」「水泳」「修学旅行等」のケースに応じた対応例をアドバイスしている。

 藥師さんは多様な性についての教育に関し、「ReBitが学校現場でとっているアンケートをみると、“今までに『オカマ』『おとこおんな』という言葉を見たり聞いたりしたことはありましたか?”という設問で、『はい』と回答した割合は、小学3年生約46%、4年生約76%、5年生約82%、6年生約84%でした。多様な性への否定的・差別的な情報は、小学生の段階から子どもたちが接しているからこそ、学校で正しい情報を提供する必要があると考えます」と説明。

 教育現場でLGBTに関する出張授業を行うReBitでは、小学生の段階は、「男らしさ」や「女らしさ」ではなく、「自分らしさが大事」ということを教え、中学生では他者をどう受け入れていくかの「他者理解」、高校生では社会的な概念としてどう共存していくか、といった発達段階に分けての教育プログラムを実施しているという。
 

「気をつけるべきこと」…善意的な言動が逆に当事者を苦しめることも


 
 まず、藥師さんは「学校現場もそうですけど、周囲でLGBTが笑いのネタになっていたら、『やめなよ』って言ってくれる人ってやっぱりありがたいですよね。あとは『男なんだから』『女なんだから』というような言葉は、LGBTの人にとっては心にズシンと響きますよね」と語った。

 多くの人は、友達同士で気軽に「彼氏いる?」「彼女いる?」「彼氏できた?」「彼女できた?」などと聞くこともあるだろう。しかし、「男女」で区別した聞き方ではなく、「パートナーはいるの?」「恋人はいるの?」というような相手の性別を特定しない聞き方を使った方がいいようだ。

 そして一番大事なシチュエーションが、「カミングアウトされた時の言動」だという。特に気をつけるべき行為は、LGBTの当事者に対して、本人の了承を得ずにセクシュアリティについて第三者に伝える「アウティング」だ。

 記憶に新しいのは2015年、一橋大学法科大学院の男子学生が、告白した相手に「アウティング」されたことが原因で、自殺したとされている。遺族側は相手学生と大学に対して計300万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、「アウティング行為は違法なのか」という点が最大の争点になっている。2017年4月19日には原告側が記者会見を開き、「同性愛当事者の問題ではなく社会の問題」などと主張。今も係争中である。

 藥師さん「その人があなたにカミングアウトをしていても、本人の同意なく他の人に言わないことは大切です。セクシュアリティ(性のあり方)は個人情報です。それが周りに伝わることで、働き続けられない、地域にいられない、学校に通えないなど、色んな弊害が起きてしまうこともある。カミングアウトはあなたを信頼しているからこそ話していたり、もしくは何か困りごとを解決するために話をすることが多いです。困りごとを解決する上で周囲の協力が必要な場合においても、勝手に周囲に伝えず本人の同意を得ることが大切です」と話す。

 LGBTの人が誰かにカミングアウトするケースは大まかに2つあり、1つ目は「個人を信頼している。あなたに知ってほしい場合」、2つ目は「困ったことを解決してくれる担当者だから」。

 1つ目に関しては友人、家族などにカミングアウトすることで、容易にシチュエーションは想像つくだろう。そして2つ目は、例えばトランスジェンダーの生徒が制服を望む性別のものを着たい場合、実質的に相談する相手は先生となる。つまり、“困りごとを解決するために担当者に伝えている”というケースだ。

 どちらのケースにおいても、カミングアウトされた側が真摯に受け止めたとする。しかし、受け止めた側が良かれと思って周りに言いふらしてしまい、LGBTの事実が広まってしまうこともあるようだ。

 「学校の制服を変えたい」というLGBT当事者の要望を受け取った場合では、友人や先生が「あの子、LGBTだから、制服変えてあげてください」と善意であっても周囲に広めてしまうと、結果的に知らせたくない人にまで伝わってしまう。または、「○○さんはLGBTだから、そういったネタやめなよ」などと他の人がいる中で注意する場合も、結果的にアウティングにつながってしまう。

 藥師さんは「困りごとへの対応で周囲への開示が必要な場合においても、まずは本人に開示の範囲の確認取ることが大切です」と注意を促し、「LGBTであるかないか、見た目だけではわからない。しかし、周囲にカミングアウトしている人がいてもいなくても、LGBTが自分の周りにいるのがあたりまえにいることが想定されるという社会になってほしいです。見た目だけではわからないさまざまな違いが想定され受け入れられる社会は、だれか特定のマイノリティだけにではなく、だれにとっても生きやすい社会だと思います」と目標を語った。

特手非営利活動法人「ReBit」

http://rebitlgbt.org

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