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地元住民を主役に地域開発で叶えた南町田グランベリーパーク! 都市公園と商業施設が一体となった新しい街づくりの形

2020.09.07 (月)

 
 2019年11月13日、東急田園都市線の南町田グランベリーパーク駅(旧名:南町田駅)に、すべてが公園のようなまち「南町田グランベリーパーク」がオープンしました。

 都市公園と商業施設を一体開発した施設ということで、新しい街作りの形としても注目される同施設ですが、地元住民から協力を得られるまでには根気強い話し合いと、発想の転換により実現したそうです。完成までにはどのような問題が起き、それにどう対処したのか、町田市都市づくり部都市政策課の辻野真貴子さんにその舞台裏を聞きました!
 

 

一般道路を遊歩道へ! 駅と公園、そして商業施設をシームレス化!

 
「南町田グランベリーパーク」は、2000年に建てられた「グランベリーモール」と1979年に開園した「鶴間公園」を一体化し、リニューアルしたまち施設として完成しました。グランベリーモールは、もともと10年間の暫定施設として計画・開設された経緯があり、施設の老朽化に伴いもう一度手を加えてみようとなりました。

「いわゆる再開発事業とは少し違います。当初はモールと公園が別々の施設としてあり、コミュニティを分断しているような形でした。そこで、駅前の再開発をきっかけに、駅、モール、公園を徒歩で自由に行き来できるように、モールと公園両施設を隔てるようにある道をつけ替えようという計画になりました」
 

▲遊歩道へ変更された道はもともと一般道路(鶴間公園と商業施設の間の道)だったため、公園と商業施設の行き来は非常に不便だった。「提供:町田市・東急」
 

▲歩行者・自転車がいつでも安全・快適に通行できるようになった遊歩道
 
 こうして大きな理想を持って2017年に始まった再開発プロジェクトですが、当初地元住民からは猛反発にあったそうです。大きな要因は施設間の往来をシームレスにすることにより、商業感が強くなり、「閑静な公園が騒がしくなるのが嫌だ」「長く親しんだ道路がなくなるのは不便だ」などの意見です。同駅は1970年代に駅前にもともとあった里山林を公園にしながら開発した地域ということで、30年以上経過し、育った緑を維持したいという住民も多かったのです。

「施設間をつなげることに関しては、最初、地域の声の多くは断固NOでした。『橋をかければいいじゃないか!』とも言われました。また公園の育ち過ぎた木を伐採することに関しても『我々と一緒に育ってきた木を切ってほしくない!』という意見が出ました。最初は設計図を見せて丁寧に説明しましたが、なかなか理解を得られない状況が続きました」
 

▲鶴間公園のメインストリート(水道みち)には立派なケヤキ並木がある
 

住民は猛反対…どのようにして理解を得たのか!?

 
 いつまで経っても平行線の空気を打開するべく、町田市と東急は、画期的な方法を取ります。それは、「一方的に説明する」ことを止めることでした。話し合いの場を開発側と地元住民の意見を言い合うのではなく、地元住民にも地域を開発するという前提に立ってもらい、新しいまちで主体的にどういうことがやりたいのかを考えてもらう形に変更したのです。

「『何をやってみたいか?』と問いかけてみたら、住民の方から『窯でピザを焼いてみたい』や『読書会を開催したい』などのアイデアが出て、実際に開発途中の施設で、みんなで考えた企画を実施することになりました。さらにその流れの中で、予想以上に大きなお祭りを構想するまでに発展しました。また、施設に関しても『早く完成しないかな』と一緒になって楽しみにしてくださる方が多くなりました」
 

▲地域と開発側がイベントの企画から実施までを一緒に取り組んだ。催し物も住民それぞれ企画を考えて出展している。「提供:町田市・東急」

 こういった平行線が続きがちな話し合いの場で重要なのが、学生など若い人の意見だと言います。今回の再開発に関わる会議でも、ハッとする新しい視点がもたらされたり、場の空気を和らいだりと、子どもや学生など、若い人たちにはかなり助けられたそう。

「行政相手に強い言葉で反論する方もいますが、意見交換の中に、例えば大学生がワンクッション挟まるだけで、『若い人はそういう風に見ているのか』と耳を傾けてくれることは多いです。若い人の目線というのはすごく大事だと思います。ある意味、潤滑剤や中和剤としての効果を発揮してくれます」
 

施設は環境に配慮し「グリーンインフラ」を重視

 
 もちろん、ただモールと公園を繋げただけではありあません。工夫のひとつが「パークライフ・サイト」というモールと公園のちょうど中間点にある施設で、スヌーピーで有名なピーナッツコミックの原作者、チャールズ M・シュルツの作品を展示している「スヌーピーミュージアム」があります。同美術館はアメリカ・カリフォルニア州にあるシュルツ美術館の世界で唯一の分館です。そしてただ観光施設としての需要だけではなく、教育の場としての役割も担っています。
 

© Peanuts Worldwide LLC
 
「美術館は六本木にあったものを移転しました。シュルツ氏が生まれ育った故郷に、南町田のゆったりした雰囲気が似ていたということで、好意的に移転の話は進んでいましたが、町田市としては観光資源という以上に、小学校の英語の義務教育化を見据え、市内の小学生の英語教育の場としたいと伝えたところ、ミュージアム側も社会教育施設としての機能を発揮したいと快諾してくれました」

 他にも「パークライフ・サイト」内にはお気に入りの図書を住民が持ち寄る「まちライブラリー」や子ども向けの児童館「子どもクラブ」などがあり、そこに使われているイスや本棚には、再開発をする際に伐採した木が、活用されています。
 

▲木の温もりと匂いで非常にリラックスできる
 
 また、雨水排水システムも特徴的です。日本ではまだあまり浸透していない「グリーンインフラ」を採用しており、アメリカのグリーンビルディング協会が所管する環境性能評価指標にチャレンジし、国内2番目でゴールド認証を獲得しています。

「よくある道路の側溝や調整池は『グレーインフラ』と呼ばれています。『グリーンインフラ』というのは、自然素材を使ったインフラ設備のことで、例えば、水を土にしみこませる装置として、砂利を敷き詰めたり、湿地でも生息する植物を使い、降った雨水を外へ排水せず、浸透させることで調整する方法です。近年国土交通省も取組を推奨しています」
 

「提供:町田市・東急」
 
 新型コロナウイルスの影響で、緊急事態宣言中はショッピングモールや一部施設は営業を自粛していましたが、公園の広場などはソーシャルディスタンスを保てていれば問題ないということで、特に閉鎖はしなかったとのこと。緊急事態宣言解後は、オープンスペースを核としたまちということで利用者の戻りも早く、大型イベントは現状できませんが、既に住民や利用者発案の小規模イベントやオンラインイベントは積極的に行われているそうです。

 画期的なまちづくりを実現した「南町田グランベリーパーク」。コロナ対策をしっかりして、一度訪れてみてはいかがでしょうか。色々な発見があるはずです!

「南町田グランベリーパーク」公式サイト

https://minamimachida-grandberrypark.com

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