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ゴミ資源問題「プラスチック」だけを“悪”にすべきではない! 消費や分別を楽しみながら取り組める社会が理想

2021.04.01 (木)

 皆さんは資源ゴミを出すとき、なぜ細かく分別するのかその理由を考えたことはありますか? 持続可能社会や循環ビジネスが進む昨今、自分が捨てた物が最終的にどうなるか、常に考えることが大事になっています。

 2020年7月にスタートしたレジ袋の有料化。開始当初は不平不満の声も多かったようですが、「コロナ禍」ということもあり、消費者の中でマイバックを使用して買い物をする習慣も根付いてきています。そして2021年3月、政府がコンビニエンスストアのプラ製のスプーンや飲食店のストローの有料化を検討していることが報じられ、今大きな注目を浴びています。

 そこで今回、『捨て方をデザインする循環ビジネス』(誠文堂新光社)の著者で、リサイクルやリユース事業を展開する株式会社ナカダイの社長・中台澄之さんに、現在国内で課題となっているリサイクルやゴミの問題を聞きました!
 

「ゴミ分別のその後」を想像することが大事

 
 中台さんの著書『捨て方をデザインする循環ビジネス: サーキュラービジネス実現へ三つの提言』では、最近耳にするようになった「サーキュラーエコノミー」または「循環型社会」がどういった意味を持つのか、そこに関わる業者の目線で包み隠さず解説していることが他の同じ分野を扱った著書との大きな違いです。

 どういった思いや心がけがあれば「ゴミ」と呼ばれていたものが、貴重な「資源」や「宝」になるのか、中台さんが真摯に現状に向き合っているからこその生の言葉がそこにはあります。

 また、産業廃棄物業界の中身を知るために同書はピッタリでしょう。創業から今までの歴史と取り組み、そして社内プロジェクト、リマーケティングビジネスの詳細など、様々情報があり、きっと今までイメージしていた産業廃棄物業界像が覆ることは間違いありません。

 そんな中台さんが代表取締役を務める株式会社ナカダイは、総合リサイクル業者で多品目の廃棄物を扱う点が特徴的です。実は中台さんが1999年に家業(同社)を継ぐ際に、ある改革に乗り出したそうです。

「例えば、洗濯機やエアコン、テレビなどの家電製品を想像してもらうと、プラスチックや金属、貴金属もある複合材料で製造されています。廃棄物処理法では、処理する際にプラはプラで、金属は金属で、行政に届け出をしないと取り扱えません。そこで幅広い品目を取り扱えるリサイクル会社にするために、多くの許可や資格を取得しました」
 

 
 リサイクルで一番難しい点がなんといっても、定期的に安定的に特定の品目が入手できないことです。ある特定の業者や企業が毎週数トン単位でゴミを捨ててくれることなど、ほぼありえません。そのため、少量を複数の業者からリサイクル材として確保しなければなりません。

 そして、本来分別したゴミがどのような処理、あるいはリサイクルされるかは、交通ルールのようにひとりひとりがちゃんと把握しなければならないことと、中台さんは考えています。

「一般の方は、『ゴミを分別したらどうなるのか!?』と具体的に想像して分けていない人が多いのではないでしょうか。我々が業者に分別のコンサルをする場合は、しっかり分別しないとこうなってしまいますよ、という先を可視化して示すようにしています。今は一般の方も、ゴミを捨てた後の世界をより具体的に想像しなくてはいけない時代になっていると思います」

 例えば「プラスチック」という名前は、廃棄する場合のカテゴリー名なだけで、本来はたくさんの種類があります。例えばペットボトルはキャップがポリプロピレン(PP)、カバーがポリスチレン(PS)本体がポリエチレンテレフタレート(PET)など分かれています。

「ペットボトルなどのプラスチックは、本来リサイクルに向いている製品です。ちゃんと分けられていれば100%ちゃんと再利用が可能です。ただ、製品に書かれた小さい素材表記まで確認する一般家庭は殆どいなと思います」
 

 
 理想としては、製造元の企業が、素材の詳細をリサイクル業者に送ると手間もかからずリサイクルできとのこと。

「個人の分別に任せるというのは難しい点もありますので、産廃業者や企業が連携して情報を共有することが大事だと思います。さらにその情報を、一般の方々にもっと発信していかなければいけないと思っています」
 

成長必至の産業廃棄物業界! 今後はクリエイティブな人材が必要

 
 プラスチックに関しては、2017年末以降、中国や東南アジアの国々が次々と、日本や欧米から送られてくる廃プラスチックを拒否または輸入規制を強化しています。その背景から、日本国内で処理されている廃プラの量は増えていると予測できます。

 中台さんによると、プラスチック製品そのものの抑制に大きく舵がとられてもおかしくない量にもかかわらず、どのように廃プラが処理されているのか、不可解だそうです。
 

 
「プロである廃棄物業者としての視点でも、『いつ、どこで、どのように』処理されているか、あまり聞いたことがありません。今後は、アジア圏全体で『アジアネットワーク』を形成して物の扱い方の決まりを作っていかなければならないでしょう。中国や東南アジアなど、ゴミを押し付けられていた国は必要に駆られ、結果的にリサイクル技術が発展しています。今はまだ日本はそういう技術がほとんど発展していないのにも関わらず、どのように処理しているのか、やはりわかりませんね」

 ただ、プラスチック製品であっても、品目によっては燃やすべきであるというのが中台さんの考えです。

「一般の弁当容器のなどのプラスチックゴミはかなりリサイクル困難です。使用済みのストローなどもそうです。そういう物は燃やした方が良く、例えば自然由来の成分30%を使うなど、プラスチックの比率を減らすことが重要です。実は自然由来の成分の入ったプラスチックはリサイクルできません。リサイクルできるものはプラスチック100%、それ以外は自然由来の成分を混ぜたものとすれば、かなり変わると思います」

 今年も続く新型コロナウイルスの感染拡大ですが、この感染防止のために、良いとされてきたアクリル板、フェイスガード、マスク、テイクアウト用の容器などは、どれもプラスチックを原料としています。状況によってプラスチックはとても使いやすく、我々を助けてくれます。
 

▲今や至るところで見かけるアクリル版の仕切り
 
「単にプラスチックを悪者として排除するのではなく、どう使うか考えるのが重要です。最近では、ペットボトル飲料を飲んでいるだけで『悪だ』という過激な人もいます。ボトルはマイボトル、箸はマイ箸ではないとダメという人もいて、私も『環境に関する仕事しているのに、ペットボトルの飲料水飲んでいるの?』などと言われることもあります。別に環境を悪くしたいと買っている訳ではなはないので、あまり堅苦しくなりすぎるのもちょっと違うかなと思います。衛生のためにプラスチックを使うという考えもあると思います。特に医療関係は、使い回しができない物もあるので、逆にプラスチック製が有効かと思います」

 中台さんの考える理想の循環社会とは、消費や分別、環境について楽しみながら取り組める社会とのことだそうです。

「焼却した方がいい製品というのは必ず存在します。ポイ捨てを責めず、使い捨ての製品を責めるのは違うと思います。ただ否定したり、批判することは、やめにして欲しいというのが、この業界に関わるものとしての考えです。大量生産・大量消費自体は、本来悪くありません。その後をちゃんと考えることが大事なのです」

 これから、物の再価値化を担う産業廃棄物業界は、かなり伸びしろがあることに加え、人類が物を使う限りは存続し続けると中台さんは予測しています。しかし、一般的なイメージはあまり良くありません。

「確かに昔は“ヤンチャな業者”がいましたが、現在はほとんどいませんので、若い人には『産廃業者は怖くないよ、ブラックではないよ!』と、一番に伝えたいです。人が捨てた物をもう一度価値あるものにするのは我々の手にかかっています。今まで注目されていなかった業種なので、新たに入ってくる人次第で大きく変わります。成熟されてなということはその分活躍の場が多いということです」

 大学生の就職先として「選択肢」に入りづらい産業廃棄物業界。これまでは「単にゴミを処理する業界」のイメージが根付いていますが、リサイクルなどに関してメーカーにコンサル業務を行う企業もあるそうで、株式会社ナカダイもそのひとつです。今後はよりイノベイティブな業務が増えると中台さんは確信し、業界全体でクリエイティブな人材を求めているそうです。大学生の皆さんも、「選択肢のひとつ」に入れてみてはいかがでしょうか。
 

▲オフィスに飾られているパネル

株式会社ナカダイ

http://www.nakadai.co.jp

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