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人材不足問題に挑むコマツ…建設生産プロセスをデジタル化する「スマートコントラクション」で解決!

2019.08.09 (金)

 
 ここ数年、労働に関するニュースで「2025年問題」もしくは「2025の崖」という言葉が出てくるのを皆さんはご存知でしょうか?

 この問題は、日本国内の高齢化により、15-64歳までの生産年齢人口が7000万人まで落ち込むとされており、かつてないほどの「超高齢化社会」を迎えると予測されています。当然、生産年齢人口の減少だけでなく、労働力人口も減少するとされ、特に建築建設、飲食、介護などの業界は現在からすでに人手不足が叫ばれており、今後はさらに加速していくと懸念されています。

 しかし、建設現場において、人材不足の課題解決を期待されているソリューションサービスが、コマツが提供する「スマートコントラクション」です!!  

 コマツといえば油圧ショベルやブルドーザーといった建設機械(建機)のメーカーとして世界的に有名な会社のひとつですが、このサービスを推進することで、どのような社会課題を解決しようと考えているのでしょうか? スマートコントラクション推進本部事業開発部主幹の村上数哉さんと、CSR室主査の松岡圭一郎さんに、全貌を直撃してきました!!
 

最大の問題「深刻な労働力不足」 2025年には技能労働者の4割が退職!

 
 私たちの生活を日々支えるインフラの整備や、資源採掘の現場では、様々な建機が活躍しています。しかし、いくら機械が大型化して大規模な工事に対応できるとしても、現状では現場を管理する人、建機を運転する人など人間の力が不可欠です。そして、人材は機械とは違い無尽蔵ではありません。
 

 
「最大の問題はすでに現実化しつつある深刻な労働力不足にあります。予測では、2025年には現在の建設技能労働者の4割が退職し、約130万人もの需給ギャップがやってくるといいうデータが出ています」(松岡さん)
 


▲資料はコマツが作成/(C)コマツ

 
 整地や掘削を担当する建機を思い通りに動かすオペレーターになるには、熟練した技術を必要とします。この熟練オペレーターの数が減少すると、当然精度の高い整地や堀削ができなくなります。それによって、現在のインフラも維持できなくなり、SDGsの項目にある11番「住み続けられる街の維持」が困難に陥ります。

 その危機に対しコマツが考えたアイデアが、現場とオフィスをデータリンクし、現場での負担を減らそうという目標設定です。ご存知の方もいるかもしれませんが、コマツは既に海外の鉱山で無人ダンプトラック運行システム「AHS(Autonomous Haulage System)」を提供しています。その現場では、人が乗っていないダンプトラックが何台も走行しており、人はオフィスでその運行を管理しています。このようなICT・IoTを活用した現場運営技術に関して、同社は卓越したものを持っているのです。
 

▲無人で走行するダンプトラック(C)コマツ
 

「ドローン測量→3Dデータ化→データリンク」! 初心者でも複雑な施工が可能なICT建機!

 
 データリンクを使用して建機の作業を自動化するとはいっても、建設土木工事には建機を使う工程以外にも様々な工程があります。例えば、建機がどこまで掘れば良いか丁張り作業をしたり、建機の横に人が立って横から作業を指示したりといった、人の手が必ず必要な部分が多くあります。そこで、スマートコンストラクションでは、工事全体に関わる人間の作業全体を手助けするシステムの構築に重点を置いていているのが特徴です。
 

 
「まず、ドローンを使って複数の場所から測量・撮影することで、3Dデータ化した全体の地図や地形図を作成します。そのデータを元に現状データと設計データの差分から正確な、建設範囲や、土壌の掘削量を計算し、それを『ICT建機』というデータリンクの出来る建機に送ると、そのデータ通りの工事を出来るようにアシストをしてくれます」(村上さん)
 


▲ドローンによる現況の高精度測量。写真のように見えるが全て約1000万点の3次元点群データ(C)コマツ
 
 データリンクで補助されたICT建機を操縦する場合、正確な掘削量などは建機が担当してくれます。

 例えばブルドーザーの場合、作業経験が浅いオペレーターでも、前に動かしているだけで建機の方がブレードの角度などを自動調整してくれるそうです。これにより、熟練オペレーターでなくても作業ができるうえ、無駄な作業が減り、工期の短縮もできるため燃費の向上や温室効果ガスの抑制にもなります。

 さらに、ドローンが測量を担当するため、これまで測点の位置を一つ一つ人間が計測していた測量作業も、一度のフライトでデータ化が可能になり、この作業においても大幅に人員や工期を削減できます。これはSDGsの11番の他に、7、8、9、13番にも関わる技術といえるでしょう。
 

 

遠隔操作技術の進化により現場から作業員がいなくなる!?

 
 これだけでもかなり先進的な試みといえますが、コマツでは、次世代移動通信である5Gが整備される将来に備え、さらにスマートコントラクションを発展させる計画があるそうです。それが、NTTドコモと共同で開発している建機の遠隔操作技術です!!

「これは高速・大容量・低遅延の特徴を持つ5G回線でコントローラーと建機を接続し、建機の遠隔操作を行うシステムです。5Gの環境が整備されれば、例えば日本からオーストラリアの採掘現場の建機を操作することも可能になります。究極的には将来は作業員がいない安全で生産性の高い現場を目指しています」(村上さん)

 昨年の10月に開催された「CEATEC JAPAN 2018」では、この遠隔操作システムを出展し、実際にブルドーザーの遠隔操作を実演したそうです。このシステムとスマートコンストラクションを使うと、極端な例を出すと自宅に居ながら遠くの現場の建機の操作が可能になるとのことでした。まだまだ企画段階ものではありますが、数年の内に導入を目指すそう。
 

▲「CEATEC JAPAN 2018」の模様。圧倒的な迫力の建機!! スマホで撮影する来場者も数多くいたようです(C)コマツ

 

建設建築作業の“重労働”“修行”のイメージは間違い! これからは“スマートな作業”に変化する!

 
 建築建設業界においての人手不足問題が解消され、さらなる社会課題の解決にも役立つように進化し続ける「スマートコントラクション」。そんな画期的なサービスを提供するコマツは、事業とSDGsとの関係性をどのように捉えているのでしょうか。

「お客様が抱えている課題を深堀りし、解決策(ソリューション)を提供することが、結果としてSDGsなどの社会課題の解決に結び付くのではないかと思っています。SDGsの何番にどうやって配慮するか論議するよりは、私たちが関わる方々がどんなニーズを求めているかを聞く方が間違いはないと信じています」(松岡さん)

 松岡さんのお話からもわかるように、「事業を通じてお客様の課題を解決していくことが、SDGs課題解決の一番の近道」というスタンスで活動をしています。

 そのスタンスの中で、大事なポイントはやはり「若い人の力」のようです。

「スマートコントラクションを導入した建設現場で、ぜひ若い人に重機などを動かしてもらいたいという想いがあります。建設作業といえば、力仕事を含む重労働や親方にどやされながら修行するなどの昔のイメージがあると思いますが、これからはより“スマート”になります。こういう技術にはデジタルネイティブの若い人の方が入りやすいうえ、新しい発想もできると思うのです」(村上さん)

 人手不足が今後確定的になると言われている建設業界。その不足部分をハイテクで補うことができるのか? それはこれからの若い学生たちの活躍にかかっているようです。
 


▲(C)コマツ

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