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「環境と人権を考えることこそがSDGs達成への道!」 環境マネジメントのプロ・サティスファクトリー小松会長が伝える!!
2021.08.27 (金)
世界では、海洋マイクロプラスチック、食品ロス、埋立地の最終処分場、CO2排出量など様々なゴミに関する課題や問題を抱えています。一般人や企業が課題解決に向けて行動していくことが、未来につながっていきます。社会や環境業界の未来、そして世界はどのように変化していくのでしょうか!?
企業の抱える廃棄物回収やリサイクルなど環境課題のソリューションを提供している株式会社サティスファクトリー代表取締役会長・小松武司さんに、話を聞きました!
欧米と日本のゴミ処理の違い SDGs12番の『つくる責任 つかう責任』
事業向け環境や廃棄物マネジメントのパイオニア的存在でもある同社は2021年6月に、日本企業全体の廃棄物に対する意識改革に繋げるべく、「再資源化白書2021」をリリースしました。
企業廃棄物の再利用や処理の問題が取り上げられる際、“欧米から取り残されている”と指摘されることもありますが、小松さんはどのように考えているのでしょうか。
「日本の法律では、廃棄物を扱う業者が排出業者に代わって処理を行いますが、欧米だと生産者(メーカー)が処理責任を追う国が多いです。自分たちで作ったものは、自分たちで処理するという、要するにSDGs12番の『つくる責任 つかう責任』が仕組みとして出来上がっているわけです。有名な企業で言えば、コカ・コーラなども積極的にリサイクル処理を実施していますよ」
▲物腰柔らかく丁寧に教えてくれた小松会長
小松さんによると、多くの欧米では、メーカー企業が生産者責任においてリサイクルしやすいように、製品を単一の素材で統一するなど工夫して、流通・設計するケースが多いようです。一方、日本国内でも、世界的な動きである“脱炭素化”を推進していくために、生産者と廃棄物処理業者の連携をより綿密にして、改善しなければいけないそうです。
さらに欧米と日本とでは事業ゴミの処理だけでなく、一般家庭ゴミの関わり合い方も違うようです。
「海外では家庭ゴミの処理代と水道代が一緒に公共料金として請求される国もあります。ゴミ処理は社会インフラと考えられているからです。日本でも本来なら行政の焼却炉でゴミを1キロ燃やすのに80〜100円のコストがかかると言われています。一般人の方々から見ると、家庭ゴミの処理に関しては『無料でやってくれる』というイメージを持っている方も多いですが、処理に関しては税金で負担されているんですよ。もしかしたら、日本も欧米のように制度を構築したら、大きく意識が変化するかもしれません」
環境問題を含めたSDGsを達成するためには、法律や制度を整備することも必要ですが、世界中の人々の“思考”をアップグレードする必要もあります。
「真っ先に自分の利益を優先させるのが『TAKER (テイカー)』、他者を豊かにしながら自身も豊かになろうとするのが『GIVER(ギバー)』です。これまで欧米の企業ではテイカー的な傾向が強かったのですが、社会課題を解決しつつ企業も成長していこうというギバー的な理念や事業プランを打ち出して、ビジネス展開する傾向が強まっています」
一方で日本はどうなのでしょうか。日本国内には、自身だけではなく社会全体を豊かにする近江商人の「三方よし」の考えを規範にしている企業もあります。
「日本では社会が良くなることで自分たちの資産を得るというギバーの精神が伝統的に定着しています。要するに“おもてなしの心”です。社会善を行うことで、お礼が返ってくるという思考でなければいけません。これまでどおりの資本主義社会では、持続可能な社会を形成していくには限界があると思います」
『諸国客衆繁盛』広い視点が持てる人財こそが必要
持続可能な目標を示したSDGsには17の項目と169のターゲットが定められています。しかし、小松さん曰く、これらの項目は、究極化すると「人権」と「環境」の2つに分類されるそうです。
「環境を良くするというのは、未来の人々を守ることにも繋がりますので、環境も未来に向けての人権問題と捉えることができます。人間が安全で安心な生活を謳歌するためには、環境が土台となっていますし、その環境を作り上げるのは、全て“人財”です」
▲その未来の人々を守るために、物流業界で扱うパレットを覆うフィルムを再利用してゴミ袋を開発した同社
同社の大きな事業である廃棄物に関するマネジメントは、処理業者パートナーシップ3,500社の協力があり、成り立っています。小松さんはここでも「人財の大切さ」を強調します。
「パートナーさんがあって、我々が存在する。産業廃棄物業界の3k(きつい、汚い、危険)のような悪いイメージがあるので、一緒に変えていきたいと思っています。『私達はゴミ屋だから』と卑下する企業さんもいらっしゃるのですが、『環境の静脈となるインフラを担っているんですよ。これからCO2排出を抑える先頭になっていくから一緒にやりましょう』と伝えています。インフラを支えているのは企業であり、その企業を支えているのは“人財”なんです」
▲廃プラを回収する現場の様子
その“人財”に関するヒントは、奈良県にある春日大社の石灯籠の言葉を再評価するのが良いと小松さんは伝えます。春日大社には、平安時代末期から今日まで、その時代の人々が、商売繁盛などの願いを込めて寄進された灯篭があります。
「明治以降は、灯篭を寄進するときの言葉が『商売繁盛』になっていますが、それより古い、江戸時代などの灯篭は『諸国客衆繁盛』と書いてあると宮司の知り合いから聞きました。つまり、『自分の利益だけなく、みなさん、色んな人が繁盛しますように』という願いが込められています。今後は、そうした広い視点が持てる人財こそが必要だと思います」
株式会社サティスファクトリー
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