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通勤環境や気候が決め手! 北海道にUターン就職した大卒女性 自分に正直に「何年も住み続けられるかな!?」

2021.11.17 (水)

 都内の大学に入学すると、なんとなく都内の企業へ就職しようと考えがちですが、そういった選択を取らない大学生も一定数います。平田有紀(ひらた ゆき)さんも、就職活動中に、都内での就職に違和感を覚え、地元の北海道にUターン就職を決意したひとりです。

 現在24歳の平田さんは北海道函館市出身で、2020年3月に中央大学法学部を卒業し、同年4月に札幌市にある北海道新聞社に新卒入社しました。

 都道府県別と認識するとUターン就職といえますが、出身地の函館市から札幌市まで車で高速道路を利用した場合の距離は約310キロ、約4時間20分ほどかかり、本州基準で同じく東京から高速道路使用した場合、混雑などを計算せず所要時間だけで比べると京都近辺まで行けてしまう計算です。同じ行政区画でありながら、広大な面積を誇る北海道の場合には、UターンでありながらIターン的側面も含んでいます。

「電車でも札幌から函館まで帰るとすると4時間前後かかります。時間的な話で言うと、東京から飛行機を使った方が早く函館にはつきます。それでも何年も住むということを考えると地続きで、気候も函館市と似ている道内の方が就職先には良いと判断しました」
 

 

気候や日々の過ごしやすさも就職先の条件としては重要!

 
 Uターン最大の決め手になったのが“普段の過ごしやすさ”だったそうです。本州の平野部に住んでいると北海道は豪雪地帯で大変そうというイメージを持ちますが、平田さんにとってそれ以上に都内の夏は強烈な体験になったようです。

「雪の不便は多少ありますが、街全体が雪向けに整備されているので、大きな問題はありません。その不便さより夏の快適さの方が優先でした。東京の夏は、北海道から来た人間からすると、ちょっと辛いです…。仮に同じ30度でも湿気が全然違いますね。北海道の方がカラッとしています。通勤面でも札幌市は地下鉄が便利でラッシュ時でも東京ほどではありません」

 マスコミ業界に興味を持った平田さんは、最初は都内の企業に就職することも考えましたが、結局はUターンしようと決心しました。最も重視したのが“継続的に働けるか”です。仕事内容はもちろんですが、気候や通勤時の混雑なども加味しての考えでした。

「Uターンしようという考えに変ったのは、3年生夏頃のインターンシップでした。満員電車や夏場の環境が合っていなかったこと、何より地元の北海道に役立つ仕事がしたかったことを考えて決めました」
 

▲札幌市街の展望
 
 また、大学の場所が中央大学の多摩キャンパスであったことも継続的に働けるかどうかを考える際に、重要な判断基準になったそうです。アルバイトのために多摩地区から渋谷にあるNHKに通勤しており、そのときの混雑体験が強く印象に残っていました。

 平田さんは就職活動の際、マスコミに興味がありつつも、業界の花形職種と言われる記者や編集者を目指している訳ではありませんでした。というのも、大学のゼミで、地方ごとの食や観光をどうPRしているのかを調べていた際、その地域の担当者に話を聞くうちに、徐々に“地元をPRする広告”に興味を持ったため、マスコミ業界の営業職を志望し、北海道新聞社の就活の際にも営業職募集へエントリーしました。

「紙面広告を扱う部署を希望していましたが、今は人事部配属になっています。採用関連業務や社内の育児休業の手続、管理などを担当している部署で、色々仕事があるんだなと面白くなっているので、希望通りの配属ではありませんが、新しいやりがいを感じています」
 

学生時代から就活のためにお金を貯めておくのも大事

 
 平田さんはUターン経験者ではありますが、距離的な事情でIターン者の気持ちもわかるということで、就職先を決める場合は、「お金を準備しておくべき」と就活生に向けてアドバイスします。

「就職希望先が遠い場合、必ずしも面接の際に宿泊費や交通費が出るとは限りらないので、お金は計画的に貯めて置いた方がいいかなと思いました。オンラインでの就活が増え、地方へのUIターン就職のきっかけが掴みやすくなっている一方で、やはり現地に直接足を運ぶからこそ感じられる雰囲気もあります」

 なお、平田さんは就職情報サイトで今の会社を見つけ、複数のマスコミやインフラ系の会社を受け、最終的に北海道新聞社に就職しました。そのため平田さん自身は、市が実施しているUIターン者向けの就職支援制度や補助金などの行政サービスは受けていませんが、札幌市としては「札幌UIターン就職センター」という就職支援センターが、JR東京駅近くにあり、移住支援金として単身の場合は60万円、2人以上の世帯の場合100万円を支給する制度もあるようです。

「U・Iターンってお金かかりそうだなぁ」と心配している大学生は、まず各自治体の専門サイトや機関・施設を調べて情報を入手しましょう! 場合によっては、U・Iターンのハードルが一気に下る可能性もあるので、オススメです!

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