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世界的に「脱プラ」推進で木材が脚光! 木を伐採しない育林とは!? SDGsと林業の課題は!?

2021.06.18 (金)

 世界的に「脱プラ」が推進される中、建材や日常消耗品のプラスチックに変わるものとして、紙の利用が注目されています。消費者にとって身近なところで言えば、プラスチックカップ、プラスチックストロー、プラスチックトレー、お菓子の外袋などのプラスチック製容器・包装が、紙製容器・包装へと移行し始めています。

 その流れの中で注目されている産業が、「林業」です。林業と言えば、「森林の木を伐る仕事・職種」とイメージする方も多いと思いますが、「育林」をする林業も存在しています。現在、林業はどのような部分に課題があるのか、育林を専門に行う株式会社中川(和歌山県田辺市)・広報の奥川ときかさんに、詳しい話を聞きました!
 

 
「和歌山県、特に田辺市は、林業がかなり盛んな地域で、一本一本伐採するというよりは、山斜面の一区画を一気に切り取り、それを木材として売るという方法を採用しています。伐採が終わった斜面は一度休ませなければいけませんが、そのとき植林や育林を担当するのが我々の業務になります」

 なぜ、そのような育林専用の業務が成立するのかというと、本来それらの業務を行うはずの伐採業者にとっては、育林自体の費用やさらに人件費もかかる上、メリットが非常に少ないそうです。そこで、同社が育林の請負や山林の資産運用・計画をコンサルティングしています。
 

 
「育林はすぐに利益が出せません。しかし、儲けにならないからといって、植えられない状況が続くことは良くありません。そのことは、業界全体の課題として理解していると思います。実は去年からはコロナ禍で、外国製の木材があまり輸入されなくなり、比較的価格が高いために購入が避けられていた国内の木材が再び注目されるようになり、需要も上がっています。このチャンスをどう活かすか、林業全体で考えているところです」
 

林業でSDGsがイマイチ浸透していない理由

 
 チャンスと言えば、SDGsの推進により、環境への負荷が低いとされる木材が脚光を浴びています。SDGsと林業との関わり方はどういう状態なのでしょうか。

「正直、業界内でサステナビリティやSDGsという言葉は、あまり浸透していないイメージです。伐採する業者や木材を製造する側は、利益を求めます。現状、自分たちの会社でサステナブルなサービスを提供しても、利益に反映されないので、あまり積極的にSDGsを推進している企業はありません」

 林業だけでなく現在、「SDGs」に取り組む際に、サステナブルな特徴と商品やサービスを、どのようにビジネスモデルとして構築するか、多くの企業で課題となっています。

 そして、奥川さんはもう一つ、業界内でSDGsが浸透していない理由を指摘します。

「個人的な考えで根拠がありませんが、林業は作業が多岐にわたる業界なので、業務が細分化しています。その影響で、他の業者が具体的にどのように作業をしているのか深く理解していません。例えば、木材を伐採して終わり、木材を市場に運ぶまでで終わりで、その後どうなっているのかは一切分からないという業者が多いのです。そのため、SDGsを考える際に、重要なサプライチェーンへの理解度が低いような気がします」
 

森林保全に立ちはだかる所有者・権利者の問題

 
 第一次産業に分類される「林業」。若者の間では、あまり人気のある仕事ではなく、人材不足が問題となっていますが、森林保全において、より大きな問題が存在しています。それが土地の権利関連です。

「山林には勝手に入って伐採することはできません。地主さんの許可が必要なのですが、林業をしていない人も所有していますので、時間が経ち、どこからがその土地なのか曖昧になっているケースが多々あります、田辺市の3分の2はそのような状況です」

 地図上には境界線が記されていますが、実際の場所には目印がない場合が殆どです。例えば祖父の代で使っていた里山をそのまま孫が引き継いだ場合、「あの木の辺りからが私の土地」という感覚で引き継がれてしまい、客観的に判断できる目印がないため、土地を把握するには大きな苦労が伴います。そういった所有者の分からない森林を一件ずつ確認し、境界を明らかにしていくのも中川の仕事だそうです。

「よく林業の盛んな地域として田辺市の他に、埼玉県飯能市が挙がることがありますが、飯能市は伐採できる山が沢山ありますが、伐採する人員が足りないということが問題になっています。田辺市は逆に伐採する人員は足りているのですが、山の持ち主がわからない場所が多く、なかなか伐採が進んでいない状況です。お互いいるべきところに人がおらず、宝の持ち腐れになっていますね」

 奥川さんは、10年前の紀伊半島水害で被災し、大学時代に水害について研究していくうちに林業に興味を持ち、そして中川に入社しました。同社は2016年に設立された新しい会社で、主に20代~30代の従業員が働いています。
 

▲株式会社中川の従業員の皆さん

 
「山林や林業に興味があればぜひ訪れてください。1カ月だけのインターンでという方も今まで結構いるので、林業の面白さを知ってもらえればなと思います」

 木を植えるという業務に関して資格は必要なく、気軽にチャレンジできるようです。また、伐採や運搬する業務に携わる場合には専用の資格が必要にはなりますが、『フォレストワーカー制度』という林野庁が資格取得をサポートしてくれる制度があります。興味のある方は、少しだけでも調べてみてはいかがでしょうか。

株式会社中川

http://nakagawa-forestry.com

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