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ゴミ資源問題「プラスチック」だけを“悪”にすべきではない! 消費や分別を楽しみながら取り組める社会が理想

2021.04.01 (木)

「ゴミ分別のその後」を想像することが大事

 
 中台さんの著書『捨て方をデザインする循環ビジネス: サーキュラービジネス実現へ三つの提言』では、最近耳にするようになった「サーキュラーエコノミー」または「循環型社会」がどういった意味を持つのか、そこに関わる業者の目線で包み隠さず解説していることが他の同じ分野を扱った著書との大きな違いです。

 どういった思いや心がけがあれば「ゴミ」と呼ばれていたものが、貴重な「資源」や「宝」になるのか、中台さんが真摯に現状に向き合っているからこその生の言葉がそこにはあります。

 また、産業廃棄物業界の中身を知るために同書はピッタリでしょう。創業から今までの歴史と取り組み、そして社内プロジェクト、リマーケティングビジネスの詳細など、様々情報があり、きっと今までイメージしていた産業廃棄物業界像が覆ることは間違いありません。

 そんな中台さんが代表取締役を務める株式会社ナカダイは、総合リサイクル業者で多品目の廃棄物を扱う点が特徴的です。実は中台さんが1999年に家業(同社)を継ぐ際に、ある改革に乗り出したそうです。

「例えば、洗濯機やエアコン、テレビなどの家電製品を想像してもらうと、プラスチックや金属、貴金属もある複合材料で製造されています。廃棄物処理法では、処理する際にプラはプラで、金属は金属で、行政に届け出をしないと取り扱えません。そこで幅広い品目を取り扱えるリサイクル会社にするために、多くの許可や資格を取得しました」
 

 
 リサイクルで一番難しい点がなんといっても、定期的に安定的に特定の品目が入手できないことです。ある特定の業者や企業が毎週数トン単位でゴミを捨ててくれることなど、ほぼありえません。そのため、少量を複数の業者からリサイクル材として確保しなければなりません。

 そして、本来分別したゴミがどのような処理、あるいはリサイクルされるかは、交通ルールのようにひとりひとりがちゃんと把握しなければならないことと、中台さんは考えています。

「一般の方は、『ゴミを分別したらどうなるのか!?』と具体的に想像して分けていない人が多いのではないでしょうか。我々が業者に分別のコンサルをする場合は、しっかり分別しないとこうなってしまいますよ、という先を可視化して示すようにしています。今は一般の方も、ゴミを捨てた後の世界をより具体的に想像しなくてはいけない時代になっていると思います」

 例えば「プラスチック」という名前は、廃棄する場合のカテゴリー名なだけで、本来はたくさんの種類があります。例えばペットボトルはキャップがポリプロピレン(PP)、カバーがポリスチレン(PS)本体がポリエチレンテレフタレート(PET)など分かれています。

「ペットボトルなどのプラスチックは、本来リサイクルに向いている製品です。ちゃんと分けられていれば100%ちゃんと再利用が可能です。ただ、製品に書かれた小さい素材表記まで確認する一般家庭は殆どいなと思います」
 

 
 理想としては、製造元の企業が、素材の詳細をリサイクル業者に送ると手間もかからずリサイクルできとのこと。

「個人の分別に任せるというのは難しい点もありますので、産廃業者や企業が連携して情報を共有することが大事だと思います。さらにその情報を、一般の方々にもっと発信していかなければいけないと思っています」

 

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