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高齢者の孤立 地域の声掛けが鍵

成蹊大学新聞会

2020.01.21 (火)

 
 総務省統計局の人口推計(2019年11月1日時点)によると、日本における65歳以上の割合は28.5%を占める。これは海外のものと比較しても高い水準だ。超高齢社会の日本に住む私たちは、高齢者が抱える問題について考えるべきだろう。そこで成蹊大学文学部の渡邉大輔准教授に、高齢者の孤立について取材した。

 「孤立」の意味は、家族を含めた人とのコミュニケーションがないことである。その要因の一つは、身体機能の低下だという。筋力が衰え身体への負担が増えることは、外出する機会の減少につながり、コミュニケーションを取りにくくさせる。

 また、加齢による抑うつや認知症も高齢者の外出意欲を失わせる理由の一つだ。

 自宅の立地が原因となり他人との交流が減る場合もある。エレベーターのない団地などで暮らす高齢者は、外に出ることがおっくうになりやすい。

 さらに、孤立すると災害時に一人で逃げるのは困難になる。もし危険を知らせる警報が鳴っていたとしても、難聴であれば気が付きにくい。また地震でゆがんだドアは平常時よりも開ける際に力がいるため、高齢者には困難である。

 このような状況を防ぐためには、高齢者が互いに声を掛け合いながら集まるような憩いの場が必要だ。武蔵野市のいきいきサロンでは、運動や脳トレなどの多様な活動を行っている。これらは高齢者の「孤立」を解消する上で大いに役立つ。

 また、体操クラブをはじめとした人の集まる場に、何度も通うことの意義も大きい。顔なじみが増え、狭くなりがちな社会関係が広がり、新しい役割を得るなどの良い効果を持つ。

 高齢者の孤立を解消するために学生にできることはあるのだろうか。渡邉准教授は「困っている高齢者を見かけた時に、ちょっとした声掛けをすることが大切だ」と話す。家族や親族はもちろん、学生も声掛け地域のボランティアへ参加することで高齢者の助けとなる。自分自身で意識して行動することが大切だ。

※記事は成蹊大学新聞会2019年12月号(No.320)2面より流用
公式HP「成蹊大学新聞会」

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