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菅義偉前首相が考える「持続可能なエネルギー政策」

法政大学新聞学会

2023.04.05 (水)

 法政大学新聞学会は、同大学出身の政治家であり、2020年度に第99代内閣総理大臣に任命された菅義偉氏にインタビュー取材を実施。再生可能エネルギーに対する思いを語っていただきました。

——所信表明演説で「2050年までに脱炭素社会を実現させる」との表明をされましたが、実現のために求められるのは何だとお考えですか。
「例えば今、線状降水帯という大雨をもたらす雲ができて、大雨が昔と比べてはるかに多くなったり、異常な猛暑が続いて山火事になって山火事が消えなくなったりしている。こういうのは全部地球温暖化が要因になっていると国連は報告しています。ですから、全体で二酸化炭素を出さないような仕組みにしていかなければならない。それで再生可能エネルギーに力を入れようということです。例えば、石炭なんかは結構炭素が出ますよね。それを出ないようにアンモニアと一緒に燃やして水素を作るとか、二酸化炭素のないものを作っていく。例えば太陽光だとか、洋上風力など、そうした自然エネルギーを活かして取り組んでいくということです」

——先生の地元の秋田にある能代港と秋田港で、洋上風力発電が始動しましたが、まだ海外の輸入に頼る部分も多いものとなっています。国内の技術発展に何が必要だと考えられますか。
「今まで日本は自分の国で部分的に作っているところもあったのですが、数が非常に少なかった。これから思い切って、洋上風力の数を増やします。日本で開発をしている部品も二万点ぐらいあります。そういった部品は地元の中小企業の人に作ってもらうことで、日本に貢献できるようになると思います。洋上風力というのは、柱で海底に打たれている洋上風力(着床式洋上風力)と、海に浮かばせる洋上風力(浮体式洋上風力)があります。日本でやろうとしているのは浮体式の方で、それが開発できれば日本だけではなく、アジアにも輸出できます。そうしたことで、大きな事業に繋がっていくと思います」

——地方が気候変動対策に取り組む動きが加速していますが、地方が取り組むことのメリットはどういったものがあると思われますか。
「地方では新しい産業が生まれますよね。先進地域というのも国が募集して、二酸化炭素削減に取り組み、グリーンを推進していく可能性のある地域を選んでいます。ですから、そこから様々な事業や雇用が生まれてくると思います」

——先生の地元の秋田でもそういった期待はあるのでしょうか。
「もう既にどんどん新しい商社とか船会社とか支店が出来ています。そうした影響もあり、飛行機の便まで増えています。それぐらい今は洋上風力で賑わい始めています」

——その一方で、洋上風力発電は漁業関係者の方からも協力が欠かせないものとなっていますが、これにはどう向き合うべきだと思われますか。
「当然協力しながら進めていきます。洋上風力事業に漁船を使うといった収入安定や、発電事業者が漁業者と連携して藻場の再生に関する検討を進めるなど、協力する事例が増えています」

——エネルギー価格の上昇がニュースでも大きく報じられています。化石燃料の値段が上がっていく中で、カーボンニュートラルを進めていくには何がどのように影響すると思われますか。
「化石燃料の価格が上がっているわけですから、カーボンニュートラルの動きは加速するでしょう。日本は化石燃料をほとんど輸入に依存していますから、自分の国でエネルギーを作るということは将来の安定にも繋がると思います」

(取材=長谷川桜子、記事=津田和弥)

※記事は法政大学新聞学会2023年新歓号(第1055号)1面〜2面より流用
公式HP「法政大学新聞学会」

https://www.hoseipress.com

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