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伊藤園が実践する社会的責任 むぎ茶飲料生産時に排出される「むぎ茶殻」をリサイクル!

2019.10.16 (水)

 
「お~いお茶」に代表される緑茶飲料を製造・販売している株式会社伊藤園は、長年に渡り、お茶の製造の際に出た茶殻を工業製品などに再利用する取り組みを行っています。そこで今回は、同社の新しい試みとして注目されているむぎ茶殻の再利用について、開発一部第四課課長の佐藤崇紀さんに聞きました。
 

“古紙調達の問題”が契機で、むぎ茶殻リサイクルシステムが誕生!

 

 
 伊藤園のむぎ茶といえば、食品スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで販売されており、麦茶飲料国内No.1シェアを誇る伊藤園「健康ミネラルむぎ茶」!!

 元々は夏場の飲料というイメージが強く、需要のほとんどは夏季でしたが、ここ数年、健康志向の高まりとカフェインレスな特徴が着目され、08年以降着々と需要を伸ばし、現在では通年で飲まれる飲料になっているそうです。
 

▲伊藤園より画像を提供
 
 人気商品に成長した同商品ですが、販売量増加に伴い、製造後に排出されるむぎ茶殻の量もかなり増えたようです。去年に出たむぎ茶殻の量は26,500トン! なんと積載量10トンの大型トラック2650台になります!! 既に緑茶の茶殻に関しては、たい肥や飼料などの一般的なリサイクル方法ではなく、特殊な技術を用いてタタミや封筒・名刺などの工業製品にも利用していたそうですが、急速に増えたむぎ茶殻にも、再利用方法が模索されるようになったそうです。
 

 
「緩衝材を製造しているメーカーの担当者と会う機会がありまして、古紙が入手困難になっているという苦労をお聞きました。そこで、“粘性の高いむぎ茶の茶殻は緩衝材に向いているのでは?”という発想が生まれました」(佐藤さん)
 

重量軽減を達成し、輸送の際のCO2軽減にも効果

 
 古紙はネット通販の需要拡大や、輸出急増などの影響で、原料の調達が困難になったうえ、価格も高騰しています。近年、プラスチックごみの関心が急速に高まっているなか、代替として“紙”が注目されており、従来の原料であった古紙パルプの一部をなにかに代替することは、急務であったという訳です。

「古紙に茶殻をまぜて、強度はそのままという緩衝材を制作するという目標は達成できました。しかし、それからが大変でした。むぎ茶殻の粘性の高さは魅力ですが、保存が効かないという問題がありました。そこで、水を含んだままのむぎ茶殻を常温保存して輸送・工業製品に配合する技術『むぎ茶殻リサイクルシステム』を開発しました」(佐藤さん)
 

▲実際のむぎ茶殻。やはり水を含んでいる
 
 素人の考えだと、水分が問題ならば乾燥させてしまえばいいという考え方になってしまいますが、乾燥には熱が必要なため、リサイクルのために無駄なCO2を排出してしまうことになります。つまり、本末転倒になってしまうのです。

 伊藤園の環境への取り組みとして、リサイクルで工業製品を作る際、その為に環境に無駄な負荷をかけてしまうものは避けているそうです。SDGsが提唱される以前から12番「つくる責任・つかう責任」を意識していたのは先見的です。

 試行錯誤の末に完成したむぎ茶殻入り緩衝材は、通常の緩衝材より強度の高いものとなりました。そのおかげで、緩衝効果は担保しつつ薄くすることができ、パルプの使用量を約20%抑えることを実現しました。
 

▲緩衝材は、むぎ茶殻を利用したこともあり、若干茶色に色付いている。
 
「強度が上がりましたので、パルプの使用量を減らし、素材そのものを軽くすることができました。原料の無駄使いを減らす以外にも、軽くなったことで、輸送する際の重量軽減にもなっています。輸送の際に出るCO2の軽減にも微力ながら協力しているとも言えますね」(佐藤さん)
 

時代に左右されずに、創業以来から環境への取り組みを推進してきた伊藤園

 
 むぎ茶殻の緩衝材は今年の9月からキッチン製品や温水暖房機器で有名なノーリツさんで使用を開始しています。しかし、伊藤園にとってこれはゴールではないそう。同社が20年前から取り組んでいる企業活動の一環なので、これからさらにむぎ茶殻の利用法を模索していきたとのこと。

「もっと薄くして、輸送面でのコストダウンをできないかと様々な企業さんと共同で試験をやっています。年々むぎ茶殻の量も増えていっているので、これからはどんどん他の工業製品開発も考えていきたいですね」(佐藤さん)

 元々同社は“持続可能な環境の維持”という方針を打ち出しており、創設以来、茶畑の確保や管理、ノウハウの提供を行い、お茶として生産するまですべての工程を管理して、環境に負荷をかけすぎないようにしています。
 

▲同社が使用している緑茶飲料「お〜いお茶」などの茶殻で作られた封筒
 
「伊藤園は、環境を常に第一に考えることを創設以来、社会的責任として努めてきました。茶殻の再利用技術開発はリサイクルという言葉がまだ定着する前から取り組みが始まりました。SDGsという言葉が定着してからは、我々の取り組みに関して、確かにメディアからの取材は増えました。しかし、『その(SDGs)ために急にやったことではないです』とは繰り返し言っています」(佐藤さん)
 

発想力を高めるために学生が取るべき行動や思考とは!?

 
 SDGsという目標が掲げられたことで、目標は見えやすくなりましたが、学生さんには、環境面だけに、こだわらず自由な発想を持ってほしいと佐藤さんは話します。

「よく学生の方に『発想力を高めるには、どういう風な勉強したらいいんですか?』と質問を受けるのですが、『特にこれと決めずに色々なことに興味を持って欲しい』と伝えております。例えば、むぎ茶を飲んで『出た茶殻はどこに行くんだろう?』という疑問でもいいのです。色んな物事に興味を向け、常日頃から考える思考を養っていれば、いざ何かを作る際や問題にぶつかった時に、それを乗り越える力になると思います」(佐藤さん)

 伊藤園のロゴは四つ葉のクローバーがデザインの元になっています。「社員と社員の家族が幸せになれるように」「伊藤園と関係のあるすべての方や企業が幸せになれるように」という思いが込められているそうです。そのロゴ通りに、伊藤園と関係のある“環境”に関する活動を大切にしている企業であることがわかりました。
 

▲伊藤園より画像を提供

株式会社伊藤園 公式ホームページ

https://www.itoen.co.jp

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