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どうして? 大阪府の準絶滅危惧種「フクロウ」 岸和田市が生物多様性の保全に挑む「フクロウの森再生プロジェクト」

2020.08.07 (金)

 
 大阪府岸和田市は8月3日、「フクロウの森再生プロジェクト」のクラウドファンディングをスタート。そこで、豪田ヨシオ部は岸和田市のご担当者さんに、森の現状や取り組みの目的などを聞きました!

 同市の丘陵地区に位置する「ゆめみヶ丘岸和田」では、地区の約半分を自然保全(活用)エリアとし、 里山の再生に取り組んでいます。しかし、このエリアは、長期間手入れされることなく放置されていたため荒廃竹林が広がり、既存の生態系は破壊された状態だったようです。

 担当者さんは、「かつては主にみかん山として活用されていたのですが、長期間手を入れることがなかったため竹が侵食し、ほとんどが荒廃竹林となってしまいました。荒廃竹林内ではフクロウは羽を広げて飛ぶことができません。また生態系も単純化しているため、エサとなる小動物もおらず、フクロウが営巣できる環境ではありませんでした」と説明。

 しかし、環境を少しずつ改善しているおかげで、「重点的に整備を続けた箇所については、竹はもう生えてこない状態になっており、植樹した里山の樹種が成長し、生物多様性も保たれています。そのため、今年は設置した巣箱内にて営巣し、ヒナの巣立ちまで確認することができました」と喜びを語ります。
 

 フクロウは生態系ピラミッドの頂点にいる鳥です。大阪府では、環境悪化に伴い、フクロウが棲むことのできる場所が奪われ、フクロウは準絶滅危惧種に指定されています。

“フクロウが安心して子育てできる”ということは、“多種多様な自然環境があり、生き物のつながりによってバランス(生態系)が保たれている”ということなのです。

 今後、同プロジェクトでは、大阪府立大学や鳥獣専門員などの協力を借りながら、理想的な森林像、巣箱の大きさや構造、中に入れる巣材の種類、設置場所、アライグマ等の害獣対策、その他さまざまな活動を進めていくという。
 

 
 そして今回のプロジェクト活動推進に際して、「岸和田フクロウの森サポーター」の募集も行なっています。

「基本的には実際に現地で一緒に活動に参加される方ですが、現地まで足を運ぶことはできないがクラウドファンディングを通じてご支援いただける方など、フクロウの森再生プロジェクトにご賛同し、あらゆる形でご協力いただける方を『岸和田フクロウの森サポーター』と呼ばせていただきます」

 今年度の主な活動については、以下です。

●11月7日(土)アドベンチャーワールドとの連携企画「パンダとともに未来を創るプロジェクト」
●11月21日(土)ボーイスカウトとの連携企画「みんなで木を植えよう」
●12月~令和3年3月まで月に1回の竹伐採活動
●令和3年4月にタケノコ掘りイベント

 

 
 活動場所である「ゆめみヶ丘岸和田」では、「フクロウの森再生プロジェクト」とともに、“都市・農・自然が融合したまち”をコンセプトに新しいまちづくりも進行中です。まちに新たに参画してくる企業、営農者、住民にも同プロジェクトへの参加を呼びかけ、リーダーの育成も行っていくそうです。

 最後に岸和田市としての環境ビジョンを聞きました。

「岸和田市としても岸和田市環境計画をはじめとする環境ビジョンの根幹となる考えをしっかり持ったうえで、今後はSDGsに取り組む企業や団体とも積極的に連携し、官民協働の森づくりをさらに進めていきたいと考えています」

 徐々に環境改善が進められていますが、まだまだ整備範囲を広げられずに現状を維持するのが精一杯な状態の自然保全エリア。何とかこの手詰まりの現状を打破して次のステップに踏み出すために、今回クラウドファンディングに挑戦したそうです。

 10年後、20年後も活動を継続し、よりよい環境を作り上げるためには、より多くの人達の協力が必要になるでしょう。

「フクロウの森再生プロジェクト」公式サイト

https://www.satofull.jp/projects/business_detail.php?crowdfunding_id=68

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