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若者のための労働組合 学生を使い捨てるブラックバイト

法政大学新聞学会 長谷川桜子

2024.03.12 (火)

Q:最近の労働相談の傾向とは
 以前と変わらず賃金や労働条件に関する相談もありますが、それ以外に労働環境の相談が増えています。例えば食品ロスが多いコンビニのあり方に疑問抱きアルバイトを辞めた相談者がいました。また外国人従業員を受け入れないといった人種差別的な方針をとる職場に反感を抱き辞めた相談者もいました。そしてパワハラやセクハラという相談もあります。そのような相談が増加した理由ではっきりとしたものはありませんが、賃金や労働条件だけが重要なのではないと最近の学生は考えるのかも知れません。社会問題についてもよく考えているのでしょう。賃金に関係ない話でも当事者として向き合う学生が増えたのではと思います。

 またこれは非常に興味深いのですが、バイト先で労働組合を作りたいという相談もありました。某大手学習塾では塾長が長時間労働で辞めてしまい学生が塾講師以外の業務を行うことになりました。しかし賃金は少ないままであったので労働組合を作りたいと言った学生がいたのです。自分で声をあげたいという学生が増えてきたのではないかと思います。労働組合の一番の特徴は必ずしも違法ではない事柄についても交渉し、闘うことができるということです。まだ未知数ではありますが、セクハラの事実を認めさせるとか食品ロスに関する職場でのルールづくりを企業に申し出るとか色々なやり方があるのではないかと考えています。

Q:ブラックバイトユニオンはどのような流れで問題を解決するのか
 労働組合は企業に対して申し立てができます。それがユニオンの基本的な解決方法です。また法律上、企業は団体交渉に応じる必要があります。例えばタイムカードが15分単位で打刻されていれば、それは違法であるため賃金未払いがあればその要求ができます。申し立てをしても最初は容易に会社は認めません。未払い賃金の多くは企業側のうっかりミスというより、違法性を認識しつつ払わない場合が多いため、申し立てをされてもすぐに全額支払うことは少ないのです。

 しかしそうなれば争議活動を行うことで会社に要求を通します。労働組合には争議権があります。具体的にはビラ配りやマイクを握っての訴え、厚生労働省の記者クラブでの記者会見など社会的な争議活動が中心です。かつての労働組合は大企業の男性正社員を主流として構成され、現在でも学生からすれば身近な存在とはいえません。しかし私たちは誰でも一人から入れる労働組合です。もちろん正規非正規問いませんし、国籍や年齢も関係ありません。

Q:学生に一言
 働いていておかしいと思ったら誰かに相談してください。親や友達でもいいけれどやはり労働が専門のNPO団体や労働組合にアクセスしてみてほしいです。親に相談した場合に「それは社会では普通だから」などと言われることがあるかもしれません。しかし学生が職場で抱いた違和感は正しかったりするわけです。人手不足と叫ばれますが結局は従順で使い捨て可能な労働力がほしいだけなのです。ブラックな職場を労働者側が容認してしまうと人生における豊かさが切り詰められてしまいます。学生自身がシフト強要や店長からのパワハラを受け入れる必要は全くないですし、自分で声を上げる必要があります。何か不当なことをされたら泣き寝入りせずにぜひ声をあげてみてほしいです。それが社会を良くしていくと僕は思っています。

※記事は法政大学新聞2023年より流用
公式HP「法政大学新聞学会」

https://www.hoseipress.com

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