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ビジネスの根幹を支える障がいのある社員! エフピコが取り組む“戦力”としての障がい者雇用

早稲田大学3年 ぺき

2018.02.09 (金)

トップメーカーに欠かせないプロ集団! エフピコ方式リサイクルの心臓部“選別作業”の現場

 私たちがまず伺ったのは使用済みトレー選別センター。障がいのある社員35名、一般の社員5名体制で仕事が進められていました。一度使用された容器を全国から回収し、新たなトレーに再生する「エフピコ方式」のリサイクル工程。その中でも、不適品の選別や白・柄の仕分けという重要な過程を障がいのある社員の方々が手作業で行っています。息つく間もなく休み無しに流れてくる使用済みトレー。その中から一瞬で不適品を見つけ、はじく姿はまさにその道を究めた“プロフェッショナル”だと思いました。また、私が最も印象的だったのが、社員の方々の団結力。取材途中、不具合のために機械が一時停止した時もすぐに周りに声を掛け、仲間の安全を確認し合う様子を見たことで「ライン作業=孤独な作業」というイメージが一気に崩れ去りました。
 

▲選別作業はリサイクル事業の根幹となる仕事。基幹業務に携わることで働き手の大きな自信にも繋がります
 

▲機械の不具合もチームワークで一気に解決! 仲間と一緒に働くことで生きがいを感じている社員の方も多いそうです
 
 エフピコ最大の特徴は基幹業務であるリサイクル、容器製造の現場で障がい者の方々が“戦力”として働いていること。実は当初リサイクル事業における容器選別は人の手ではなく、機械を入れて全自動化を目指していたものの、微妙な誤差の識別など細かい作業は機械だけでうまくこなすことが出来なかったんだそう。そこでもともと繋がりがあった障がいのある方々に選別を任せたところ、“1つの物事に長時間熱中できる”という彼らの特性がこの仕事に活かされ、機械を圧倒的に凌ぐ大きな成果を出したのです。
 
 「障がいがある人の特性を強みに変え、彼らには会社の戦力として働いてもらう」という経営方針のもと、障がい者の方々は8:30~17:15までフルタイムで働く正社員。障がいのある社員も一般の社員も同じ働く仲間として業務に携わっています。
 「私たちと同じようにお給料を貰って働いているのだから、彼らには成果を求めます。1日で選別するトレーの目標数設定や結果の共有も、障がいのある社員が自分たちでやっています。しっかり成果を出せば障がいの有無にかかわらず昇進できますし、実際に主任補佐という役職に就いた社員もいるんですよ」
 そう仰るのは、障がいのある社員の上司である茨城選別工場・課長の中村広太郎さん。相手を信頼し、仲間として接している中村さんの姿を見ているうちに、私の中でイメージしていた“障がい者雇用”の概念が大きく変わりました。
 

▲「彼らは障がい者ではなく、私にとって大切な仕事仲間なんです」と迷うことなく仰る中村さん
 
 一日中の立ち仕事に加え、ベルトコンベアに乗って次から次へと流れてくる容器の仕分け作業は体力的にも精神的にも過酷な仕事。特別支援学校卒業後から入社し、働いた経験のない社員が多く、1カ月目で体力的に・2カ月目で精神的に・3カ月目で体力的にも精神的にも辛くなり、「仕事に行きたくない」と泣いてしまう方もいらっしゃるそうです。ただ、そんな時に支えとなるのが一緒に働く仲間の存在。障がいのある先輩社員が後輩に根気強く仕事を教える文化がエフピコには根付いています。
 そのため、どんなに仕事が辛くても「先輩があんなに一生懸命教えてくれているのに僕は何をしているんだ。もう一回頑張ろう!」と気持ちを奮い立たせ、一人前の仕事人として成長していくそうです。障がいのある社員同士の揺るぎない信頼関係・チームワークこそが、高品質な食品トレーを生み出し続ける最大の秘訣だと思いました。

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