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プラゴミを含む環境問題の解決こそ新しいビジネスチャンス 九州大の磯辺教授「イノベーションと持続性はイコール」

2021.08.03 (火)

 海洋プラスチックゴミ研究の第一人者である九州大学の磯辺篤彦教授は「プラゴミを含む環境問題は、大きなビジネスチャンスの可能性を持っている」と示します。

「日本で公害が社会問題化した1950年〜60年代頃は、企業の生産性向上と環境保護活動は対立軸にありましたが、現在の環境問題では決して両者は対立するものではありません。環境問題の解決と同時に、業を発展させる、新素材の開発を目指す、新しい処理システムの構築などを行うことが、新しいビジネスを生み出し、莫大な利益に繋がります」

 磯辺教授も大手総合化学メーカーや化粧品メーカーなどと共同でプラスチック製に変わる環境に負荷を与えない素材の研究やプラスチックの劣化のメカニズムを調査する実験などを行っています。

「未来のために考えて、『あれをやるな』『これはダメ』『贅沢するな』と過剰に抑制するのは酷です。完全な抑制ではなく、多少の犠牲はあったとしても環境問題を解決するために、新素材の開発などに向かってチャレンジした方が夢もあると思います。それぞれの業種の企業が様々な角度からのアプローチで、環境問題解決に向けてイノベーションを創出してほしいと思います。ただ、イノベーションと持続性はイコールであることを忘れてはいけません」

 企業活動において、よく日本企業は海外企業と比較されますが、特に環境への取り組みが進んでいる北欧やその他の欧州と比較して、「日本は遅れている」という論調が出るケースも多々あります。世界を股にかけて研究している磯辺教授は、どのように捉えているのでしょうか!? 

「マイクロプラスチック関連の論文が出始めたのはここ5年くらいなので、欧州の方が進んでいるというのはないと思います。他所の芝生は青く見えますが、それぞれの国で良いところもあり、ダメなところもあります。海洋流失するプラスチックの問題に限って言えば、『99%処理することは可能だが、1%は海に流出してしまうこと』を、日本は世界に先駆けて証明しています。これは大きなメッセージなります」
 

 
 マイクロプラスチック問題に関しては、世界中が手探りの状態で、未だ確実な解決法は見出せていません。企業の取り組みは我々一般人からは見えづらい部分が大きいですが、日々研究開発・実験などを行い、環境問題の解決にチャレンジしている企業もあります。

 大きなチャンスが秘められている環境問題をビジネスに発展させることができるか、企業の発展が鍵となりそうです。

※トップ画像は、磯辺教授の研究グループの活動の様子

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