豪田部とは

大学生へ

大学生ネットワーク

『SDGsの根本を問う』 企業や大人の固定概念を覆す学生の発想に期待! 早稲田大学とイオン環境財団「AEON TOWAリサーチセンター」

2021.02.01 (月)

 2020年9月、早稲田大学と財団法人イオン環境財団は、時代に即した環境課題を解決するために、「AEON TOWAリサーチセンター」を設立しました。

 早稲田大学と国内最大の流通グループ・イオングループが協力することで、どんなシナジー効果が生まれるのでしょうか? AEON TOWAリサーチセンターの共同代表で早稲田大学環境エネルギー研究科教授の友成真一さんと同リサーチセンター事務局長の永井祐二さんに話を聞きました。
 

持続可能な「イオンの里山」作りを一緒に考える人材を育成

 

▲「イオン環境財団と早稲田大学の連携体制 AEON TOWAリサーチセンター」資料より(以下同)
 
「イオングループは30年前から植樹などをCSRの一環として行っており、これまでに1千200万本を超える木を国内外で植えてきた実績があります。しかし、今後は植えるだけでなく、例えば木質エネルギーの利活用など、人の営みを含めたさまざまな社会の持続性の枠組みに組み込んでいくことを構想します。SDGsなどを意識し複合的な社会課題の持続性を確保していく、これが新たな『イオンの里山』です。環境保全と消費行動の関係性を明らかにし、新しいコミュニティを創造するなどの複数の目標がありますが、この課題解決を通じて、人材を育成していくことが、センター設立の最大の意義です」(永井さん)
 

▲イオンの里山の構築イメージ
 

▲リサーチセンターへの想いを熱く語ってくれた永井さん
 
 実は早稲田大学とイオングループとの関わりは深く、イオン環境財団理事長 岡田卓也さん(イオン名誉会長)と副理事長 岡田元也さん(イオン代表執行役会長)、さらに理事長の父親も早稲田大学出身で、今回のセンター設立をきっかけに、イオングループ全体として本連携に取り組みます。

 イオンは、2018年3月から国際的な企業連合体であるRE100(自然エネルギー100%プラットフォーム)に加盟し、2050年までの店舗・オフィスでの二酸化炭素排出量ゼロを目指しています。同社は「世界の小売業ランキング2020」にて、世界12位にランクインし、イオングループ全体の従業員数は約58万人。店舗などで使っている電力使用量は国内全体の約1%にのぼると言われています。

 そんなイオングループなど企業等が主体で推進する環境負荷削減、CSR活動には懸念点があると友成教授は分析する。それは「視点が一方通行になってしまうこと」だそうです。

 それを解決することを期待されているのが、早稲田大学をはじめとした学生です!

「我々、大人が物事をすすめる際、社会人の常識、企業の常識、組織の常識、大人の常識、世代の常識に囚われてしまいがちですが、『イオンの里山』を構築するためには、その常識や固定概念に囚われない発想が必要です。当事者であるイオングループの常識もです。だからこそ、真っさらな視点とアイデアを持った早稲田大学をはじめとした学生と一緒に考える必要があるのです。企業や大人向けの考えではなく、大学生が持っている根本的なことに迫る意見や考えが聞きたいのです」(友成教授)
 

▲「SDGsってそもそも何?」という根本を問い続けている友成教授
 

「別の価値観を否定しない」多様性への配慮がSDGs達成につながる

 
 友成教授は、持続可能な理想の「イオンの里山」を実現するためには、SDGsの普遍的な目標である「誰も置き去りにしない」という考え方が重要になってくると分析しています。

 新たな街づくりには、地域のステークフォルダーの多様性を配慮し、これを内包する形で、新たな地域社会を再構築することが重要になってくるそうです。

「別の価値観の人を否定せずに受け入れること、これは大きな課題ではありますが、そういう配慮ができない社会だといつか限界が来てしまいます」(友成教授)

“別の価値観を否定しない”

 この言葉は「イオンの里山」の構築だけではなく、様々なSDGs目標を達成する上で、絶対に必要な要素になります。本当の意味での持続可能な社会とは、多くの問題に立ち向かう際に、関係者が自分とは違う多様な価値観を受け入れ続けることで実現されていくからです。

「社会全体の持続可能性と発展は、本来矛盾しているものだと思います。人間はここ200年の間に産業発展の名の下に、持続可能な社会をズタズタに破壊してきました。そして今、皮肉にも持続可能な社会に少しでも立ち返ろうとSDGsを掲げ、17の目標を定めました。先程申し上げた矛盾点を調整する人材や専門的な分野で世界を引っ張っていける人材を作らなければ、このリサーチセンターを設立した意味はないと思います」(友成教授)

『イオンの里山』の構築に際しては、まず、大学生とイオングループの社員などが意見を交換するセミナーを実施。ただ、参加する学生に早急な解決策だけを求めていないそうです。最後に友成教授は「学生は持続可能な社会というものがどういったものなのか。根本な問題に疑問を持ってもらい、矛盾と戦いモヤモヤ考えながら成長してほしいです」と期待した。
 

 
▲様々なアプローチで人材育成を実施していく

「AEON TOWAリサーチセンター」公式サイト

http://www.aeontowa.jp

オススメ記事

【大学生調査】1ヵ月に1冊以上本を読みますか?

大学生ネットワーク  暑い日々が続いているが、読書ならば室内にいながらでも、知識や新たな視点を得ることができる。そこで今回は、本の魅力や大学 … 続きを読む»

【首都直下地震に着実な備えを】武蔵野市 市民に防災対策を啓発

大学生ネットワーク  1月1日に発生した令和6年能登半島地震は、人々の防災意識に大きな影響を与えた。大地震に時間や場所の例外はない以上、準備 … 続きを読む»

若者のための労働組合 学生を使い捨てるブラックバイト

大学生ネットワーク  学生が中心となって構成されている労働組合「ブラックバイトユニオン」。学生による学生のための労働組合である。アルバイト先 … 続きを読む»

自転車の交通ルールと武蔵野市の取り組み

大学生ネットワーク  成蹊大学(以下、本学)にも利用者がいる自転車。自転車は、自動車と違い免許は必要ない。気軽に乗ることができる一方、交通マ … 続きを読む»

菅義偉前首相が考える「持続可能なエネルギー政策」

大学生ネットワーク  法政大学新聞学会は、同大学出身の政治家であり、2020年度に第99代内閣総理大臣に任命された菅義偉氏にインタビュー取材 … 続きを読む»

栽培地域減少 2050年問題を考える

大学生ネットワーク  近年、多くの人がコーヒーに慣れ親しんでいる。しかし近い将来、地球温暖化によりコーヒー豆の生産量が減少し、コーヒーを飲め … 続きを読む»

大学教育によってサステナブルな未来は創造できるのか? 武蔵野大学が新設する「サステナビリティ学科」

大学生ネットワーク  2023年4月に新学科「サステナビリティ学科」を開設する武蔵野大学が8月3日、有明キャンパスで記者発表会を行いました。 … 続きを読む»