新たな化粧品向け素材が海洋プラスチックごみ問題の解決をサポート! 開発者が重視するサステナブルとビジネス視点!
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貧困地域・アフリカでの「ギブミーフード」体験がアプリ開発のきっかけ! 食品小売業界のフードロスに挑む!
2020.03.16 (月)

2019年2月1日、株式会社エイチ・アイ・エスのグループ会社であるみなとく株式会社が、食品ロス解決アプリ「No Food Loss」をリリース。同アプリは今までの食品ロス削減ツールなどと違ったアプローチで食品ロス問題の解決を目指しています。その内容を同社の代表取締役社長・沖杉大地さんに聞きました!!
全国のコンビニの廃棄量は約4億円分
一般的にスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの食品小売店で販売されている食品は、賞味期限・消費期限の判断だけでなく、企業が設定する独自の品質管理システムによって、破棄されています。
「スーパーなどでは、特売シールをつけて販売することがありますが、コンビニでは、『いつでも同じ値段で同じクオリティー』であることが経営方針のため、独自の基準で破棄しています。その量は1店舗あたり約1万円、全国のコンビニですと約4億円のフードロスが毎日発生していることになります。その現状をなんとかできないかと開発したのがこの『No Food Loss』です」
具体的にコンビニなどがどのくらいの期間で食品の廃棄をするかについて、沖杉さんによると、おにぎりは2時間、弁当は3時間、牛乳は5日程度消費期限が残っている状態で廃棄してしまうそうです。ポテトチップスなどのスナック菓子などは、まだ1カ月も賞味期限があるにも関わらず、廃棄対象になってしまうそうです。
アプリのシステムは、アプリ利用者に近隣店舗の食品ロス情報が通知され、直接該当の店舗でクーポンを認証させることで、商品を購入することができます。
事前の決済や支払い方法に制限はなく、誰でもクーポンを利用することが可能になっています。直接訪れての購入にした理由は、子どもでも購入できるようなアプリにしたいという狙いがあったからだといいます。現在コンビニチェーンに関してはポプラと、コミュニティ・ストアがこのサービスに参加しており、他には消費期限のはっきりしているパン屋さん、ホテルのビュッフェで残った食品も扱っています。
「ご利用者さまからは『もっと使用できるコンビニを増やして欲しい』というご要望を頂いています。私も、現在の小売店などが行っている品質管理のシステムは変わるべきだと思っています」
フードロスの問題解決に向けて欧州では食品ロスに関わるアプリが開発されましたが、多くはレストラン向けで、小売店向けのアプリをリリースしたのはオランダの企業だけだったそうです。
「当初は、開発したとしても日本で受け入れられるか半信半疑だったんです。その理由から最初1店舗で実験し半年くらい様子を見ようということになりましたが、すぐに口コミで広まり、100店舗が参加。2019年の夏から本格稼働となりました」
フードロスを減らすと同時に貧困地域への食糧支援にも貢献できる!
そして、このアプリは国内のフードロス問題の解決を目指すアプリであると同時に、海外の貧困地域への食糧支援にも貢献することが可能になっています。
アプリで購入した食品の金額の一部を、海外にある開発途上国の子どもたちの給食費の一部として「TABLE FOR TWO」を通して寄付しています。この開発途上国への食糧支援こそ沖杉さんがアプリの開発を考えた大きなきっかけでもあります。
「私は学生時代、海外へひとり旅をした経験があります。その時にアフリカなどの貧困地域で子どもたちから『ギブミーマネー』とお金をせがまれ、何度かお金を渡したことがありましたが、ある日、お金がなくてクッキーを渡したところ、すごく喜んでもらえたのです。そこで本当は『ギブミーマネー』ではなく、『ギブミーフード』なのだと思い、そこから自分が何をするべきか考えるようになりました」
▲アフリカの子供とコミュニケーションをとる学生時代の沖杉さん
2015年に持続可能な開発のためのアジェンダとしてSDGsが採択されたことは、同アプリの開発にとって大きな追い風となりました。大きく関わっているのは2番の「飢餓をゼロに」12番の「つくる責任 つかう責任」などですが、そういった問題へどの程度貢献しているかの「見える化」したのも大きな特徴です。
「海外の子どもに直接フードロスの食品を送る訳にはいきませんが、アプリ内で、今まで自分がどれくらい購入し、どの程度貧困地域に援助しているかわかる仕組みになっています。『このサービスすごくいいので、もっともっと広めてください!』という励ましのお言葉もいただきました。将来的には食料援助ランキングなども作っていこうかと思っています」
学生だからこその行動力で見識を深めて欲しい
最後に学生時代の体験によってアプリを開発した沖杉さんは、学生時代の過ごし方についてアドバイスしました。
「国内外問わず、色々な場所に行って体験をして、学生のうちに見識を広めて欲しいです。アフリカで言えば貧困層の中にも格差があり、肌ツヤがいい子や服が小ぎれいな子がいます。そういうことは現地に行かないとわからないことです。“学生だからこそできる”を意識して行動してほしいですね」
実際に沖杉さんも、このアプリが現在の形になるまでに様々な場所に足を運び、現場の方の意見などを親身に聞き、情報収集をしています。沖杉さんは今後もさらなる拡大を目指し、信じた道を突き進んでいく。
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