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プラスチック製品有料化の意味 海洋プラスチックごみの削減になるの? 本当に評価すべき点は…

2021.08.13 (金)

 2020年7月、日本全国でプラスチック製レジ袋の有料化がスタートしました。この有料化の背景には、海洋プラスチックごみの削減、プラスチックの過剰な使用の抑制など様々な目的があります。当初は消費者から「面倒くさい」「意味がない」など批判的な意見も上がりましたが、レジ袋有料化から1年ほど経過した現在、「エコバッグ持参」も普及し、比較的レジ袋有料化は定着しつつあります。

「レジ袋が有料化」を施行した環境省は、さらにコンビニやスーパーで提供するプラスチック製のスプーンやフォーク、ストロー、ホテルなどでアメニティとして提供されているプラスチック製品の有料化も推進しようとしています。

 国連環境計画(UNEP)の報告書では、日本はプラスチックの生産量は世界3位で、日本人一人当たりのプラスチックごみ廃棄量は32kgで世界2位。プラスチック排出量は年間900万トンとされています。

 日本が強く推進しようとしているプラスチック製品の有料化は、本当に「海洋プラスチック問題」解決の糸口となるのか?

 長年、マイクロプラスチック問題を研究している九州大学 応用力学研究所付属 大気海洋環境研究センターの磯辺篤彦教授は、一連の「プラスチック製品有料化」の動きにどのような見解を持っているのでしょうか。
 

▲研究で忙しい中、取材に応じてくれた磯辺教授
 
「プラスチック量を減らすのは大変です。なぜなら、プラスチック製品は贅沢品ではなく、庶民が普段から使うモノだからです。特に貧困地域は、飲食に関して衛生面も優れているプラスチック製品の恩恵を受けています。貧困地域からプラスチック製品を急に無くすということは、衛生状態の悪化を招きかねないので、実現するのは難しいでしょう。使用するプラスチック量を減らす際には、日本のように有料化や廃止をしても『ちょっと不便』という地域から、徐々に減らさなければいけないのです」

 しかし、国家単位でプラスチック量を減らしていくためには「国民への説明や理解」が必要になります。一般層に現状の危機を伝え、責任のある行動を促すことは容易ではありません。

「プラスチック製品の有料化」を主導している小泉進次郎環境大臣は、「この有料化をきっかけに、なぜプラスチック素材が世界中の問題となって取り組まれているのか、そこに問題意識を持ってひとりひとりが始められる行動につなげてもらいたい」と説明しています。

「プラスチック製品の全体的な廃棄量の割合では、レジ袋は4%程度で非常に少ないです。しかし、海へ流失してしまうゴミの中だとレジ袋は結構割合が多いので、それから抑制する施策は良いと思います。また、身近なポリ袋を有料化したことによって、国内メディアも海洋プラスチック問題を取り上げるようになったので、一般層への周知効果としては絶大だと思います」

 賛否両論が生まれることによって、これまで環境問題に興味のなかった層も「レジ袋有料化」を通じて、改めて環境問題を考える機会が生まれたのではないでしょうか。ただ、このままの状態だと、海洋プラスチック汚染が深刻化すると予測されているだけに、一般人はどのように行動すればよいのでしょうか。
 

 
「プラスチック問題は、気候変動に関わる温室効果ガスの問題に非常に良く似ています。地球上の皆が加害者であり、被害者は将来の人々ということになります。非常に厳しい言い方をすれば、特定の業種や誰かを守るためではなく、地球環境を守る、次世代の生活を守ることなので、一部の産業や人間を犠牲にする可能性は大いにあります。企業は社会情勢や時代背景を踏まえて業態をシフトチェンジしていく、一般人は小さなことでも続ける。その間にイノベーションが進み、10年、20年と年月をかけて、徐々に減らしていこうというのが、この問題の解決方法にはなると思います」

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