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創業100年を超えた森永乳業…環境部門のSDGsポイントは「FSC_認証」「ロングライフ製法」

2019.07.12 (金)

 
 日本の食品メーカーとして名高い森永乳業株式会社は、2017年に創業100周年を迎え、さらなるSDGs活動を推進している。具体的にどのような活動に取り組んでいるのか、同社のコミュニケーション本部CSR推進部担当部長の山本美穂子さんとCSR推進部環境対策グループ長の遠藤雅人さんに話を聞きました。

 森永乳業は、2018年2~5月に様々な部署から管理職クラスのメンバーが集まり、SDGsに関するワークショップを開催しました。活発な議論が行われたワークショップの中で、重要取組課題として「健康・栄養」「環境」「人権」「供給」「次世代育成」「人財育成」「コーポレート・ガバナンス」の七つの課題を策定しました。

 細かい取り組みを含めるとそれ以上の項目になるそうですが、食品メーカーとして重要な事柄としてこの七つをメインテーマとしたそうです。
 

▲資料を用意してくださり、身振り手振りで説明する遠藤さん(左)と山本さん(右)

 
「“自分たちの部署ではこういうことができる”と意見を出し合った結果、まず、FSC_認証を得た紙の使用がキーポイントとして上がりました」(遠藤さん)

 FSC_認証とは、森林の環境保全に配慮し、地域社会の利益にかない、経済的に持続可能な森林管理のもとで生産された森林資源であることを認証する制度で、木のデザインがあしらわれたマークになっています。同社が販売するアイスクリーム『MOW(モウ)』や紙パック入り飲料の『ピクニック』などにも、このマークが記載されています。
 

 
 また、「モノカルチャー」と呼ばれる単一の農作物を生産する農業形態も現在世界で環境への悪影響が指摘されており、そこで注目された農作物が、食品や日用品、洗剤などの生産に欠かせない、パーム油でした。

 パーム油の原料であるアブラヤシは、農園開発のための熱帯林伐採だけでなく、その後の農園管理においても様々な問題が指摘されています。そのようなことを意識して同社ではRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)に2018年に加盟し、同非営利組織の認証パーム油の使用を開始し、2020年までに100%をブックアンドクレーム(※)で購入する方針としています。

※ブックアンドクレーム…パーム油の生産者が、認証パーム油の生産量に基づいて認証クレジット(証書)を発行。エンドユーザーはその認証クレジットを購入することで、認証パーム油の生産者を支援する仕組みです。
 

食品ロスを減らす試み「ロングライフ製法」とは

 
 食品メーカーにとって重要な取り組みのひとつが、食品ロスの削減です。この解決策のひとつとして、同社は「ロングライフ製法」による製品を多く販売しています。この製法は簡単に説明すると、飲料を完全に殺菌し、密閉性の高いアルミ付き紙パックでしっかりと包装することで腐敗を防ぐという製法です。腐りやすい牛乳なども常温で保存ができる上に、長期の保存が可能に! 
 
 同社のアルミ付き紙パック商品を飲み終わった後、開けて中身を見た人はいるでしょうか? 経験がない人は一度開けてみてください。内面が銀色の紙になっているので、ロングライフ製法ではない紙パックと違うことがはっきりわかります。
 

▲パックを展開すると、このように内面が銀色の紙で加工されています

「ロングライフ製法は、容器の密閉性の高さが特徴です。現在は技術の進歩によりロングライフ製法でない紙パック牛乳なども2週間程度の賞味期限になっていますが、この製法では、牛乳は約2か月、リプトンレモンティーなどは約4か月の賞味期限になっています。長く保存することができれば、その分食品のロスは減る可能性が高くなるという訳です」(遠藤さん)

 アルミなしの内面が白い紙パックは資源として回収している自治体が多かったのですが、内面が銀色のアルミ付き紙パックはリサイクルした時にアルミがリサイクルした紙に残ってしまうため、以前はリサイクルが困難でした。

 ところが最近は、リサイクル技術そのものの進歩によりそうした課題が少しずつ解決していているそうです。スーパーの店頭や自治体の回収でも、アルミ付き紙パックも含めて回収しているところも増えてきました。皆さんも一度近くのスーパーの店頭の回収ボックスや自治体の分別の仕方を確認してみてはいかがでしょうか。

 そして、このロングライフ製法を活用した『森永とうふ』シリーズも、同社自慢の商品となっています。おいしさと鮮度はそのままに、保存料も不使用。その保存期間は、なんと216日だそうです。
 


▲<森永乳業より画像提供>

 
 開発当初から最近まで、法律の関係上で冷蔵保存が義務付けられていましたが、元々常温保存にも耐えられるように開発製造していました。そして、2018年に豆腐の規格基準および食品表示基準改正されたことを機に、2019年に常温保存可能品として発売することとしました。

「牛乳販売店などでしか取り扱っていませんが、隠れた人気商品です。業界団体が厚生労働省と議論を続け、常温保存での販売が可能になりました。この認可により、レジャーの場面や災害現場など、冷蔵保存が出来ないところでもお豆腐を食べられるようになったのです」(山本さん)

 また、その豆腐を製造する際に出たカス(おから)も、同社では廃棄物にならないように有効に活用しています。

「おからに乳酸菌を加えて発酵させると、牛の飼料として良質な物ができます。この飼料を酪農家さんに販売しています。このサイクルによって少しでも廃棄物を減らす仕組みを作っています」(遠藤さん)

 飼料は発酵した飼料であるため保存がしやすく、牛の好む酸味の効いた風味をもち、牛のカラダにも健康的だそうです。サプライチェーンである酪農家を助けつつ、森永乳業が良質な原料を得られるというワケです。
 

▲<森永乳業より画像提供>
 

森永乳業が考える「食を通じて社会に貢献できることはなにか?」

 
「まだまだ、会社に関わる全てのスタッフに、SDGsの活動を理解してもらえている状況ではないと思います。しかし、今年度から、わが社の中期経営計画にSDGsの課題についても盛り込まれました。今後はもう少し多方面に展開していくことができそうなので、少しずつ浸透していくのではと思っています」(山本さん)
 

▲<森永乳業より画像提供>
 
 中期経営計画にSDGsが盛り込まれたことを受け、現在、CSR推進部のスタッフがSDGsがどういったものかを理解してもらう説明会やワークショップを少しずつ始めているそうです。

 さらなるSDGs活動推進に向けて行動する中、やはり同社にとっての核は、「食を通じて社会に貢献できることはなにか?」という部分だそうです。実際に低出生体重児のためにビフィズス菌M-16Vを全国120以上の病院に提供したり、重度のアレルギー症状の乳児のための特殊ミルクなども開発しています。

「様々な人々の健康や命を守る仕事も重要な役割だと思います。まずは社会に貢献することで共感してもらうことです。そして商品を使ってもらってよかったなと思ってもらうことが当社にとってのSDGsの基本なのです。それがドンドン大きくなり、会社の発展にも繋がっていけばいいなと思います」(遠藤さん)

 人の健康や食の安全を守るために重要なことを突き詰めていけば、それが SDGsの活動に繋がっていくというのは、食品メーカーならではといえるかもしれません。また、人間以外にも、動物園向けに、同社の関係会社ではパンダやアザラシ、アシカ、ゾウなどのミルクなどを開発にも力を入れているそうです。

 

大学生に一番訴えたいこと…「残さず食べて」「容器リサイクルも」!

 
 最後に学生へ訴えたいことについて伺うと、“食品ロス”と“リサイクル”を特に意識して欲しいという意見をいただきました。食品ロスに関しては消費者庁も2012年に、「食べもののムダをなくそうプロジェクト」というページを開設し、膨大となっている食品ロスを是正するため、消費者・事業者双方の協力が必要だと訴えています。

「食品を作っている会社なので、私たちが作ったものを残さず食べたり飲んだりしてくれれば、うれしいなと思います。おいしいと感じて完食していただくことが作った私たちもうれしいし、最も身近な食品ロス対策でもあります」(遠藤さん)

「学生さんには、ボランティア活動などを通して、リサイクルに協力していただけると嬉しいです。学生さんの活動をご覧になると、他の年代のお客様も関心が高まるのではないかと思っています」(山本さん)

 食品メーカーとしての責任や努力、そして現状に留まらずにさらなる進化を遂げようとしている森永乳業株式会社。150周年、200周年に向けてのSDGs活動に大注目だ!

森永乳業株式会社

https://www.morinagamilk.co.jp

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