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最新技術を研究し、世界に挑戦する工学院大学ソーラーチーム

2019.10.07 (月)

 
 新たな知見や価値を創造する「21世紀型ものづくり」。

 その最先端で活躍する人材の育成を行っている工学院大学には、太陽光を動力源とする自動車・ソーラーカーで、世界に挑戦する学生たちがいます…。それは、工学院大学の八王子キャンパスに拠点を置く「工学院大学ソーラーチーム」です!! 一体、どのような学生が所属しているのか!? ソーラーカーにかける熱意や取り組みなどを聞きました!
 

狙うは優勝! オーストラリアで開催される世界最高峰のソーラーカーレースに挑む

 
 同チームは、“50年後の未来を考えた地球の持続的利用”を理念に学生主体活動を行っており、オーストラリアで2年に一度開催される世界最高峰のソーラーカーレース「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ(BWSC)」に2013年から出場しています。

 今年は大会開催の年で10月13日から約5日間をかけオーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまで約3000kmを、約30名でキャンプをしながら横断します。チームはこのBWSCに合わせ、2年間かけて新車両を設計・製作します。新車両を設計する際は、学生から案を募り、コンペティションを行っています。

 ちなみにBWSCには、アメリカ、オランダ、ベルギーなど世界各国の優秀な大学のチームが参加します。
 

 
 2015には同大会のクルーザークラスで準優勝の経験があり、さらに今年はチーム誕生からちょうど10周年に当たる同チーム。チームキャプテンを担当する先進工学部4年生の尾崎大典さんは「世界中のチームが血眼になって勝ちをとりにきますが、各部門の連携を高めれば、勝てると思います。目標はもちろん優勝!」と意気込みます。
 

▲ソーラーチームのラボに貼ってある「2015 準優勝」のポスター
 

マシンの製作からスポンサー探しまで、チームの運営は学生中心!!

 
 ソーラーカーを走らせるだけでも一苦労ですが、実際に世界大会で優勝を狙うレース用のマシンを製作するとなると膨大な費用がかかり、最新技術を積極的に導入する必要があります。他にも全体的な進行管理など様々な課題が出てきます。それらの課題に基本的にはチームに所属する約380名の学生だけで取り組んでいるのが同チームの特徴です。

 チームはリーダ、キャプテン(レース責任者)、技術部、運営部、財務部などの部門で分けられ、さらに技術部の中でも機械、空力、電気、戦略、ドライバーなど、細かく役割が分かれています。

 例えば、マシン製作の資金集めに必要なスポンサー集めも学生が担当しています。「自分たちがどんな活動をしていて、スポンサー側にどういったメリットがあるのかを説明して、資金や部品の支援などをお願いします」と尾崎さん。もちろん上手くいくことばかりではないそうですが、アドバイザーとなる工学院大学の教授や職員の協力を仰ぎつつ「スポンサー様にはWIN-WINの関係になるように心がけている」とのことでした。

 

▲数多くの企業がソーラーチームをサポートしている

 
 使用するパーツの中には、まだ市販の自動車はおろか、レースマシンにも搭載していない試験的な材料や部材が提供されることもあるという。
 


 
 ちなみに今回のチームのマシン「Eagle」が搭載しているソーラーパネルは、広く流通しているシリコン製のものではなく、人工衛星で使う発電効率の高い製品で、畳一畳分程度で高級車が購入できてしまう値段だとか。

 一部パーツには帝人グループが開発した超軽量のカーボン素材も使われているそうで、同チームでレース中の戦略を練り、エネルギーマネージメントを担当している修士課2年生の安部達哉さんは「普通に生活していれば触れられない、ニュースなどでしか知ることのできない素材を自分達のソーラーカーに取り入れられるのは、とても魅力的ですね」とやりがいを語ります。
 

 
 車や機械いじりが得意ではない学生さんでも、別の得意分野を活かしたいとチームに入る人は沢山います。

 現在チームリーダとしてチーム内部の統括をしている、工学部4年生の村田愛美さんは、普通自動車免許は持っておらずチームには「割とミーハーな気持ちで入った」と苦笑。
 


▲チームの中で女性は数人だが、それぞれ重要な役割を担っている

 
 しかし、太陽光発電と、空力関係には興味があったそうで「流体のコースを選考しているので、1年生のときから空力分析を担当させてもらっています」と説明。

 実は、走るための電力消費量が限られるソーラーカーレースでは、極限まで車体を軽量化するため走行時の安定性に直結する空力はかなり重要なのだそう。同チームでは「ネイチャーモーフィング」と呼ばれる自然界が持つ機能や素材を模倣することにより、空力に優れたマシンを開発しています。
 

子どもたちにクリーンエネルギーの大切さを教えるのもチームの重要な活動

 

▲「2018年わくわくサイエンス祭 科学教室」での模様

 
 普段の活動の他に欠かせないというのが、地方自治体へのソーラーチームのアピールや地域の小学生などを対象に行う「教育的活動」という学区外での社会貢献活動だそうです。多い年では年間25件以上あるというこういった活動で同チームはクリーンエネルギーとしてソーラー発電を紹介するセミナーなどを行っています。

 

▲画像のような小さな自作カーで、子どもたちにレクチャーしている
 
「エネルギーを効率的に使うにはどうしたらいいのかという疑問を、ソーラーカー以外でも自作のホイールを製作して説明したりすることがあります。この前は空力の話をするためにボディパーツを自作しました。子どもたちは根気よく話すと段々と聞いてくれるようになってくれますね」と尾崎さん。

 特にチームスタッフと一緒に簡易的なソーラーカーを作るイベントなどをすると、目を輝かせてくれるとのことでした。

 村田さんは「子どもたちの他に、自分と違う得意分野を持つ方々、そして様々な企業の方々と出会えることが本当に楽しいですし、刺激をもらえます」とやりがいを説明します。

 また、同チームでは“人”との関わりだけではなく、企業で扱うような貴重な素材やデータを扱うことで刺激を受ける機会も多いということで、安部さんは「新しい技術に触れることができるので、世界が広がると思います」とコメントした。
 


▲ “自分の活動がSDGsの何番を担っているのか”を意識してもらうために、チームメンバーにはSDGsステッーカーを配布

 
 SDGsの観点から見ると、太陽光エネルギーを扱うという点においては、7番の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、新たな科学技術を追求している点はで、9番の「産業と技術革新の基盤をつくろう」、小学生への教育的活動は、4番の「質の高い教育をみんなに」に関連していることがわかります。
 

▲厳しい勝負の世界に身を置く学生たち。ラボの乱雑な様子が、真剣さを物語る

 「ソーラーカー」を追求することで、新たな技術革新に挑戦している工学院大学のソーラーチーム。彼ら彼女らの努力が、いつか持続可能な社会の構築に寄与することも期待できます。

工学院大学「ソーラーチーム」

https://www.kogakuin.ac.jp/solar/index.html

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