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木のストローでプラスチックごみを減らす? 住宅メーカーだからこそできるアキュラホームの試み
2019.12.31 (火)
2019年6月28日、29日に大阪府で開催された「G20大阪サミット」にて、珍しいストローが公開されました。そのストローは木製で、その他全てのG20関係閣僚会合などのコーヒーブレイク・夕食会場・プレスセンターなどで使用され話題となりましたが、同製品を企画・開発した会社が、住宅メーカーなのはご存知でしょうか?
今回は世界初となる「木のストロー」を開発した株式会社アキュラホームの総務人事部の間瀬宏和さんに同製品を作ることになったきっかけや狙いについて聞きました!
木のストロー作製のきっかけは西日本豪雨の土砂崩れ
アキュラホームは、木造注文住宅を建設する住宅メーカーということもあり、木材に関しては元々スペシャリストです。木のストローに使用されている木材も0.15mmにうすくスライスしたスギ材を丸めて作製されています。木材を材料として使用しているということで、「資源の無駄使いをしているのでは?」と疑問を抱く方もいるかもしれませんが、そうではありません。
なぜなら、同ストローに使われている木は、木材として使用される前に間引かれる「間伐材」だからです!
▲水につけても丈夫で、お茶を飲む際には、木のほのかな香りも楽しむことができる
【本文】
実は、今現在日本では、木材確保用に植林した人工林が使われなくなった放置林が大きな問題になっています。花粉症の原因であるスギの木も木材用に植林して放置されたままになっているといわれています。
「2018年7月に発生した西日本豪雨で大きな問題になったのが、実は人工林の土砂崩れでした。本来、人工林というのは適切な処置をして定期的に木を間引かないと、木が密集したままで水はけが悪くなってしまうのです。これをなんとか解決しようという想いが、木のストローを作るきっかけとなりました」
なお、最初からストローという発想があったわけではなく、ちょうど同時期にプラスチックごみの問題がクローズアップされていたことが、ストロー製作の決め手に繋がったという。
「WEBサイトなどで、海洋生物にプラスチックが刺さったショッキングな写真などが公開され、世界中で廃プラに向けた活動が始まっていたので、それならば間伐材をストローにしてはどうかというアイデアが生まれました」
しかし、ストローの開発を始めた直後は、木材そのものに穴を空けて失敗するなど試行錯誤を繰り返し、2019年1月の導入開始に至ったそうです。現在の形になるヒントは意外にも同社の社長室にあったそうで、なんとそれはカンナ台! その削りカス(同社では削り華と呼ぶ)からヒントを得て、薄くした木材を丸めることで完成形になったのです!
▲数々の試作品。トライ&エラーを繰り返したからこそ、現在の木のストローが完成!
▲一息で丸めるとストローに!
大量生産には課題 しかし環境保護と雇用促進も検討
日本の国土は約7割が森林と言われており、持続可能な製品としても適しているこの木のストローは、SDGsの12番「つくる責任 つかう責任」14番「海の豊かさを守ろう」15番「陸の豊かさも守ろう」に関わる技術。
「現在は手作りのため数に限りあります。今後の課題は機械化とコストの削減ですね」
そこで、アキュラホームでは、ストローを大量生産する際に、雇用創出にもつなげようと検討しています。
「特にシニア・シルバー人材や外国人の雇用を検討しておりますが、環境貢献企業として、まずは少しずつ広めていけたらと考えております」
雇用の面を考えるとSDGsの8番「働きがいも経済成長も」にも貢献しているといえます。また、地方自治体にも木のストロー普及に向けた協力を依頼しており、協力体制が整っている横浜市とは、市内にある人工林の間伐材を活用し、市内の障がいを持った方々に製作してもらい、横浜市内で提供するというモデルにも大きな期待をかけています。
幅広いSDGs活動! 子どもたちに木育授業なども実施!
同社では、木のストロー以外にも環境貢献として様々な活動を実施しており、2010年には「木望(きぼう)の未来プロジェクト」と題して、間伐材でできた学習机の小学校への寄贈や木育授業の実施など木を通じた教育も2010年から行っています。木育の授業では、宮沢社長が子どもたちにカンナ削りなどを披露することもあるそうです。また、横浜市と連携してSDGsに貢献する住まいや暮らし方も発信しています。
「木材を通して木の大切さを知ってもらうことや、住み続けていける家を作るのもSDGsだと思うのです。人が住むところに携わる会社なので、包括的に幅広く目標達成をしていきたいですね」
最後に同社の強みについて質問すると、様々な環境から経験豊富な人材が入社しているとうことで、意見を求めると多様な考えが聞けるとのことでした。これから就職を考えている学生にも様々な考えやアイデアを持てるような大学生活を過ごして欲しいと、間瀬さんは訴えかけます。
▲入社式では、新入社員がかんな削りをするのが恒例行事
「わが社は出た学校も人によって様々で、色々な意見が出しやすい職場だと思います。社長も中学校卒業と同時に住み込みで大工修業を始めた人間です。今回の木のストローもそうですが、最初はひとりふたりで始まったものが大きくなりました。アイデア次第で小さな取り組みが大きな事業につながるかもしれないということを知って欲しいですね」
普段は捨ててしまうようなものから全く違うモノを生み出し、さらには事業発展や雇用につなげようとしている同社。そのチャレンジ精神で、事業を通じてさらなるSDGs活動を推進する。
株式会社アキュラホーム
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