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SDGsプラス独自目標を掲げる生活クラブ 自らの行動で安心・安全な「消費材」を生み出す!
2020.09.22 (火)
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(生活クラブ)は1965年、東京都世田谷区で主婦たちが牛乳の共同購入を始めたことがきっかけでスタートしました。
以来、「国産」「食の安全」「食料自給率向上」などを目的とし、現在では北海道から近畿地方までに組織され、全国の組合員数は40万人にまでのぼり、しなやかなネットワークを築いています。
持続的な成長を遂げている生活クラブは今年6月23日に、さらなる目標「第一次 生活クラブ2030行動宣言」を掲げました。その行動宣言の詳細を生活クラブSR推進室室長の山本義美さんに聞きました。
長年、食の安全に取り組んでいる生活クラブ。安全や持続可能性を重視するために、自ら生産者を見つけ、一から独自の流通システムを構築するケースも珍しくありません。その流通の際に生じる電力についても再生可能エネルギーを活用するなど、すでにSDGsに先んじた取り組みも行ってきましたが、今回の「第一次 生活クラブ2030行動宣言」では、SDGsの理念に通ずる7つの目標と、SDGsに留まらない生活クラブ独自の目標を1つプラスした計8つの重要目標を掲げています。
8つのスローガンは以下となっています。
1:食料主権※の考え方を基軸とした、国内生産の追求と、公正な調達を行ないます。
2: 素材本来の味、食材にまつわる知恵や文化を大切にして、健康で豊かな食の実現をはかります。
3:地球の生態系を維持するため、海や陸の環境保全と気候変動対策に取り組みます。
4:原発のない社会をめざし、再生可能エネルギーの生産と普及に取り組みます。
5:誰もがその人らしく、安心して生活を営める地域と社会をつくります。
6:貧困と孤立を見過ごさず、自立に向けて寄り添い、支え合い、多様な居場所と働き方をつくります。
7:非戦と共生の立場を貫き、平和で公正な社会をめざします。
8:情報開示と自主管理を基本とし、自ら考え、決め、実行します。
※食料主権:すべての国と民衆が自分たち自身の食料・農業政策を決定する権利。
「我々が最も重要視しているのが8項目目です。これは生活クラブが昔から信念として掲げていた、自分たちができることを探し、自主的な目標を定め、それぞれが希望を持てる社会に変えていくため、努力するという方針をより端的にまとめたスローガンです」
▲1〜7番はSDGsに紐付けられているが、8番はオリジナル目標なため、あえてSDGsのアイコンを表記していない
お母さんたちの「想い」「願い」は強い!
生活クラブでは、扱っている食品や製品を「商品」とは呼びません。素材が明らかなものを共同購入するという意味で「消費材」と呼んでいます。
生活クラブが始まった時代は高度経済成長期の只中で、世界的に大量生産・大量消費が当たり前となった社会でした。
その背景の中で、組合員の殆どが子どもを持つ母親でした。その主婦たちの“家庭の安全を守りたい”という願いが、食の安全性や自給力性・持続性を追求した「消費材」を生み出しました。
例えば定番の消費材である「パスチャライズド牛乳」は、1979年千葉県の酪農農家と共同で独自の牛乳工場を建設したことで実現したものです。鶏肉に関しても、生活クラブで扱っている国産鶏種はりま(ブランド名:丹精國鶏)は、チャンキー、コッブといった海外品種とは異なる「はりま」という三世代前から国産の鶏種です。
「食の安全への取り組みに関して、我々は常に先頭を走ってきたという自負はあります。子どもたちに良いものを食べてほしいだけではなく、安心安全な食が担保されていない社会の中で育ってほしくないという願いを持って、活動を行っている組合員は多いです。目の前にいる子どもたちのためを想っての取り組みなので、ごく当たり前に実践しているのです」
生活クラブでは、海外の食品を扱ったり、食肉の飼料に輸入穀物などを使ったりすることもありますが、それも組合員が現地に赴き、きちんとチェックしています。こういった海外視察は各地域を代表するリーダー層といわれる組合員たちの集まる会議で決めています。ちなみにパプアニューギニアで生産されるコーヒーの視察で現地を初めて訪れた日本人は生活クラブの組合員だったそうです。
2030年以降は若手職員の力が必要!
今回の行動宣言は「第一次」と規定されています。もちろん「第二次 行動宣言」へとつなげることを視野に入れており、2030年以降も事業を担っていけるように、若い職員たちが中心の論議の場を作り、意見交換を活性化させています。
「50代の私は議論の場では極力意見を言わないようにしています。30~40代の若手職員に意見を出してもらう方が、より建設的で意義があります。生活クラブの目標とSDGsが目指しているゴールは同じだという認識を持って、まだ取り組んでいないことにチャンレンジしていきたいと考えております。第二次宣言を出す際には、若手職員が中心となって、組織を引っ張っていってほしいです」
生活クラブは学習会や生産者交流会などのイベントも盛んに行っており、年に約2,300回実施しています。2020年に入ってからは新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催できずにいますが、収まり次第、様々なイベントを開催していく予定です。
「我々が今危機感を強めているのは、“気候危機”の問題です。この気候危機については、チラシや学習会などを通じて、内外に注意喚起、情報共有を促進し続けていきたいと思います。ここ数年、大きな自然災害が起きています。今後、10年がさらに緊迫した地球環境になると国際機関からも指摘されていますので、学生さんも自ら考えて動いて欲しいなと思います」
「生活クラブ」公式サイト
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