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先進的福祉国家フィンランドの新型コロナ対策に迫る! 在宅ワーク? 休業要請? 外出禁止? 

2020.07.14 (火)

 
 世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルス。日本でも2020年4月7日から5月25日まで、緊急事態宣言が発令され、カラオケボックスやスポーツジム、飲食店などに休業要請や時間短縮営業要請がなされました。海外では、イギリスやフランス、イタリアなどで一般の人の外出を制限または禁止する「ロックダウン」が行われました。先進的福祉国家であるフィンランドではどうだったのでしょうか?

『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか 』(ポプラ新書)の著者で、現在はフィンランド大使館で広報の仕事に携わる堀内都喜子さんに、フィンランドのコロナ対策について聞きました。
 

飲食店などの休業は「強制」も日本の緊急事態宣言に近い対策

 
 複数の国では、治安上、軍事上の理由のために発令される「外出禁止令」などを応用で、都市封鎖である「ロックダウン」を実行し、感染拡大を防ごうとしました。例外はフィンランドの隣国に当たるスウェーデンで、特に大きな制限を設けず集団免疫の獲得を試みています。一方のフィンランドは、こうした感染症に関する具体的な法案がコロナの問題が表面化するまでなかったそうです。

「フィンランドでは、感染症の拡大対策としてロックダウンをする法案などがなかったため、政府は3月16日に非常事態を宣言しました。日本の緊急事態宣言のような形で、海外渡航の禁止、10人超の集会の禁止、公営博物館・劇場・文化施設・図書館やスポーツ施設の閉鎖、学校などの休校を決めました」
 

▲コロナ感染拡大前の写真です 写真:Helsinki Marketing
 
 日本の緊急事態宣言との違いは、商店やカフェ・飲食店、スポーツジムなどの休業を要請ではなく、強制にしたことです。そのための補助金を支給し、約3カ月後の6月16日に制限を解除しました。ただ厳密には、制限は5月中旬から徐々に段階的に解除され、宣言が解除された後も現在の東京のように段階を経て、自由になっていっています。

 当初、首都のヘルシンキを含むウーシマー地域は特に感染拡大が懸念される他の都市からの往来を禁止し、ほぼロックダウンのような形で実施。すぐに効果が薄いと判断し、宣言から2週間後には、往来は問題ないという方針に切り替え、マスクをつける習慣がないので、着用強制はせずソーシャルディスタンスの確保を主に呼び掛けたそうです。

「商店やカフェは閉まっていますが、外出は特に規制が設けられていないこともあり、ソーシャルディスタンスは保ちつつですが、森や公園に出かけるというのはよくあったようです。フィンランド人は自然が好きですのでよく近くの森林に行く習慣があります。それに人が集まりすぎてニュースで問題になったこともあります」

 公園で人が集まりすぎたという問題は、日本でも聞いたことがありますね。また、北欧特有の自粛生活での問題も…。

「フィンランドでは、サウナや森のサマーハウスなどのセカンドハウスで薪を多く使うのですが、その薪割りに精を出しすぎてケガ人が続出という報道もありました。ケガ人が医療機関を逼迫させる原因になると、病院やメディアが薪割りを控えてくださいと呼びかけたほどです」
 

▲写真:Finland Promotion Board
 

既に発展していた在宅ワークやリモート 仕事・学校では大きな混乱はなし

 
生活面では多少の問題が発生したものの、就労や学習に関しては特に大きな混乱は起きなかったフィンランド。

 それは、同国には元々グローバル展開をしている企業が多く、テレワークなどにそれほど抵抗がなかったことが挙げられます。元々、会社組織がフラットで柔軟な働き方を推進していて、日本のような9時~5(17)時という時間規則が希薄で、判子の文化もないことが、今回のコロナ禍で大きな強みになったそうです。 

「コロナ禍前から、在宅ワークを実施している企業は3割ほどありましたが、コロナの影響でそれが6割まで増えました。もちろんエッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちは通常通りでしたが、それ以外の職業は在宅ワークへの移行が早かったといえます。非常事態宣言が解除された後も、政府はテレワークを秋頃まで維持することを推奨しており、中には『別に都市部にいなくても仕事ができるのでは?』と、田舎にあるセカンドハウスで仕事をしながら暮らそうという考えの人も増えています」

 学校に関しても同様で、その理由として、同国の発展したデジタルインフラという強みがあります。例えば携帯電話のWiFi通信などは容量無制限基本ということで、いつでもどこでも気軽に遠隔で授業が受けられるという訳です。逆に日本の一部大学では、リモート学習の整備が整っておらず、授業に支障をきたすケースや学生が混乱する場合もありました。
 

▲コロナ禍前からPCは使い慣れている学生たち 写真:Finland Promotion Board
 

誤りを認めて改善策を実行する内閣に支持率も上昇!

 
 もちろん日本のようにPCRの検査の不足が指摘されたり、サッカーチームが練習していたと通報するという自粛警察のような人も現れたそうですが、その都度改善策を考え実行していくフィンランド政府の姿勢は、今回のコロナ関連の問題で大いに評価され、支持率もあがったそうです。
 

▲3月16日の非常事態宣言に関する記者会見。中央がマリン首相。写真:Finnish Government
 
「初期の首都圏の封鎖やPCR検査が自由に受けられない問題などで、批判を受けることもありましたが、全体的に年齢が若く、女性も多い内閣はその都度、誤りを認め改善策を出すなどして信頼度を得ました」

 今回のコロナに関する政府の対応に関して、フィンランド国民は欧州でもトップクラスにポジティブな反応なのだそう。これにはフィンランド人の国民性も影響していかもしれないと堀内さんは考えます。

「我々がイメージするいわゆる欧米人とはフィンランド人は、少し違うんですね。口下手でシャイで、あまり感情を表に出さない。その部分では日本人に似ている部分もあります。普段感情が安定している分、こういった問題が起きた時に耐性強いのかもしれません。もちろん保障体制がしっかりしているので、なんとかなるだろうという希望もあることは事実ですが…」

 各国の情勢をニュースなどで確認すると、政府の対応だけでなく、やはり国民性が大きく関わっていることがわかる非常事態時。今回のコロナ禍を経て、日本もさらに対策が進むと考えられますが、やはりその根幹を支えるのは国民性ではないでしょうか。

※メイン写真:Helsinki Marketing

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