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お茶の水女子大がトランスジェンダー学生受け入れへ! その意味をお茶大生と考えてみた

2018.08.03 (金)

国内外の女子大の取り組みや、日本学術会議の提言が背景に

 
 アメリカでは2013年、伝統ある女子大学の一つ、スミス大学がトランスジェンダー学生の出願を受け入れなかったことに在学生が反対運動を展開。アメリカ教育省は2014年、教育機関での性差別を禁じた法(1972年制定)により、トランスジェンダー学生が差別から守られなければならないと発表しました。

 この発表に後押しされる形で、マウントホリヨーク、ブリンマー、ウェルズリー、スミス、バーナードの各大学などがMTF学生の受け入れを決定。いずれの女子大学も、19世紀後半、市民としての権利が女性に認められていなかった時代に創設された女性の高等教育機関であるからこそ、性、人権、民族、階級、宗教、国籍、地域、障害などによる差別や偏見を撤廃し、社会変革を進める女性の育成に力を入れてきた歴史を持っています。
 

▲資料:お茶の水女子大学
 
 日本では、2015年2月、日本学術会議(政府に対する政策提言などを行う科学者の代表機関)に「社会と教育におけるLGBTの権利保障分科会」が立ち上がりました。奈良女子大学副学長が委員長を務め、同年5月、公開シンポジウムでアメリカの女子大学とトランスジェンダー学生の受け入れについて報告が行われました。

 2017年2月に開かれた日本女子大学人間社会学部学術交流シンポジウム「『多様な女子』と女子大学─トランスジェンダーについて考える」では、2015年末に日本女子大学の附属中学校に電話で寄せられた問い合わせに、学園全体がどのように向き合ったかが紹介されました。

 その問合せは、戸籍上男子の小学4年生の母親から、性同一性障害の診断書があるので、受験が可能かというものでした。日本女子大学はプロジェクトチームを立ち上げて検討した結果、時期尚早という判断に至りましたが、その模索の過程や課題を学外にオープンにしたことが、この課題を国内の女子大学に広く問う重要なきっかけになったようです。

 このシンポジウムの課題は、2017年3月、朝日新聞で報道され反響を呼びました。わが豪田ヨシオ部インターン、お茶の水女子大学4年生のガッキーも、この報道以来、女子大学のトランスジェンダー女性受け入れのテーマに関心を寄せていたそうです。

 朝日新聞は全国の76女子大学の学長を対象にアンケートを実施し、64大学から回答を得た結果を2017年6月に掲載。出生時は男性で性自認が女性であるトランスジェンダー学生の受け入れを、5大学が検討中、3大学が検討予定、検討すべき課題と答えた女子大学が41と6割を超えたと報道されました。その反響もあり、2017年10月に開かれた女子大学連盟総会でも、トランスジェンダー学生の受け入れが議題に取り上げられました。
 

▲資料:お茶の水女子大学
 
 日本学術会議のLGBT分科会は公開シンポジウムを3回開催。その成果として提言「性的マイノリティの権利保障を目指して─婚姻・教育・労働を中心に」を2017年9月にまとめました。その中にこのような一文があります。

「『文科省通知』にしたがって性自認に即した学校生活を保障されているMTF(トランスジェンダー学生)が、女子校・女子大に進学できないとしたら、それは『学ぶ権利』の侵害になると言えよう」

 これは、お茶の水女子大学の今回の決定の根拠にもなっている考え方です。

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