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LGBT就活での問題点3項目…「男女に分かれやすい」「面接官のハラスメント」「情報不足」

2017.11.16 (木)

 多様性を認める「ダイバーシティ」が推進される中、一部の大手企業を中心にLGBTへの対策も活発化し始めている。しかし、企業側の知識不足もあり、LGBTの就活シーンでは、当事者を傷つけてしまうハラスメントも行われているようだ。

 まず、経済的な側面から見ると、LGBT市場は約5.9兆円と試算されている。巨大なマーケットということもあり、一部の大企業からは熱い視線を向けられている。

 キャリアカウンセラーとして、これまで800名以上ものLGBT就活生の支援をしてきた特定非営利活動法人「ReBit」の代表理事・藥師実芳(やくし・みか)さんは「一部の企業では就活シーンでの配慮を強化している。LGBTの7割が、LGBTに理解のある企業で積極的に働きたいというデータもあるので、企業側も採用戦略としてはあります」と明かした。

 LGBTも積極的に就活し、企業も迎え入れる。お互いwin-winな関係のようだが、まだLGBTを理解しようと努力している企業はごくわずかで、面接の現場では「ハラスメント」行為も起きているようだ。
 

就活で面接官による理解不足ハラスメント

 
 藥師さんによると、就活シーンにおいてLGBTの若者たちが感じた弊害は、大まかに3つ挙げられるという。
 

 
 1つ目は、「そもそも就活は男女に分かれやすい」という点。例えば、説明会の日程登録、履歴書の性別記載は現状の履歴書では「男」「女」で分かれている。特にトランスジェンダーの就活生はその時に、どのように記入したら良いかわからない、または記入する欄がないため、困惑してしまうという。

 2つ目は、「面接官の理解がなく、適正判断されないケースがある」という点。実際のエピソードとして面接の際に、大学生がLGBTということをカミングアウトすると、面接官から「帰ってください」と言われたケースもあったようだ。また、面接の場で性的な質問をされたこともあり、面接官の理解不足によるハラスメントが起こっている。

 3つ目は、「安心な情報や適切なサポートがない」という点。どの企業、どこの職場であれば、安全に働けるのかが不明確すぎるのが現状であり、大学のキャリアセンターやハローワークでもなかなか支援・サポートがないという。

 藥師さんは「面接でカミングアウトをしたくても、できる人は少ない。当然、職場でもカミングアウトできていない、しづらい状況ですね」と語った。

 「電通ダイバーシティ・ラボ」の調査によると、職場において同僚1人にでもカミングアウトしている割合が約5%、上司1人には約2.5%だという。また、連合の調査では、国内の35%の会社員が、同僚がLGBTだったら「嫌」だと返答したというデータも発表されている。

 藥師さんは職場でのカミングアウトのケースを一つあげた。例えば、社員が「私はゲイなんです」と打ち明けた際に、職場の中で理解がない場合、上司や同僚からハラスメントや嫌がらせを受けたり、昇進に影響したり、場合によっては自己退社をせざるをえないケースになることもあるという。

 「安全な職場で自分の能力を発揮したいと考えているのは、LGBTの人もLGBTでない人も同じです。例えば学生時代に、LGBTに関する活動や研究等をしていた場合、就活面接の場で自己PRとして伝えたい学生も少なくありませんし、就職した先では、セクシュアリティを隠さずに仕事をしたいと考える人も少なくありません。ただ、面接官や職場の理解の不足を恐れ、カミングアウトをしたいと思っていてもできない人がまだ多いですよね」
 

企業調べすることも大事

 
 ここまでの流れを振り返ると、「企業の理解が低い」と感じるかもしれないが、LGBTに関する取り組みを積極的に実施している企業もある。2017年5月に経団連が95社の「具体的な取り組み事例」を公表。一部の企業を紹介しよう。

 伊藤忠商事では、「採用活動におけるLGBTへの配慮」として、採用時のエントリーシート上の性別欄に「男」「女」、そして「その他」という項目を設置。LGBTの支援活動を行うNPO団体と相談して取り決めた。
 

 
 日本電気では、エントリーシートでの性別記入欄を設けていないだけでなく、採用面接者向けのマニュアルに、「個人の尊厳を傷つけるような面談を行わないこと」「LGBTに関わる質問に終始しないこと」「本人の能力と業務適性のみで判断すること」を2015年から明記し、対応している。

 NTTドコモでは「自社サービス」として、同性パートナーシップ証明書を取得したカップルに対し、ファミリー割引を適用。

 KDDIでは「職場環境の整備」において、「トランスジェンダーの場合、本人が希望する性で仕事ができるよう環境整備や職場への理解促進に努めている。性別の扱いを変更した際には、ワーキングネームの変更、健康診断の個人実施、ユニバーサルトイレの利用推奨などの対応を行なっている」。

 中外製薬では、服装のガイドラインを改定し、性別ごとの記載部分を修正。また、宿泊を伴う研修において、部屋割りや入浴に関する個別相談など、配慮した対応をするための対応手順を制定。

 社名をピックアップした企業では、他にも様々な対応を実施している。また、取り上げなかった企業でも、独自の対応策を行なっており、LGBTへの理解を深める社内セミナーの開催やLGBT当事者のための社内相談窓口を設置している。

 藥師さんは「現場レベルの体感としても対応策を考えて実施しようとしている企業は増えていると感じます。企業が率先してLGBTへの施策を実施し、LGBTにとっても安全に働ける職場が増えることで、LGBTの若者も就活シーンで、不安を感じることが少なくなると思います。ぜひこれからも企業の取り組みが広がってほしいです」と熱くコメントした。

 LGBTの若者の活躍の場は増えるのか? いや、増えなければならない。日本企業の努力が試される。

特定非営利活動法人「ReBit」

http://rebitlgbt.org

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