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教えて先輩! 地方移住編

大卒若者 偶然の出会いをきっかけに茨城県Iターン就職 地方移住で必要な心得「過度に期待しすぎないこと」

2021.05.20 (木)

 コロナ禍のなか働き方も大きく変わろうとしている昨今、東京・大阪などの大都市圏内で就職せずに地方へのI・Uターン就職を視野に入れている若者が増えています。

 ただ、実際に生活の場を地方へと移すというのはなかなかハードルが高く、想像しにくいことも多いでしょう。そこで豪田ヨシオ部は、2020年度に茨城県にIターン就職した木村優斗さんに、移住のきっかけや実際に住んでみての感想、移住を決断する際に気をつけるべきポイントなどを聞きました!
 

 

都会の喧騒や時間流れの早さが苦手で地方就職を考える

 
 木村さんは千葉県柏市出身、1995年生まれの現在25歳。一橋大学卒業をし、2020年4月から茨城県の地元新聞社に勤務しています。一体なぜ、地方へ就職したのでしょうか?

「都会特有の喧騒や時間の流れの早さやが苦手で、大学に入学する前から自然豊かな場所で就職して、居住したいという想いを持っていました」

 実際に行動に移すことができたのは、東京都有楽町にある『認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター』の協力があったからだそうです。同センターでは、地方へ移住したい希望者とそれを受け入れたい自治体の橋渡しをしています。

「大学の就職相談課で、職員さんからふるさと回帰支援センターの存在を教えてもらいました。実際に足を運んで、さらに茨城県東京渉外局の職員さんを紹介されました。そこで色々話を聞いていたのですが、偶然その時に現在の就職先であるご担当者さんがいらっしゃって、そのまま移住の相談にのってもらったというのが経緯です」

 木村さんは大学時代、勉強はそこそこに、塾講師などのアルバイトでお金を溜めて、国内でのボランティア活動や海外旅行に注力し、実際に自分の経験を通じて、価値観を広げていくことを重視していました。その考えのもと、自分の目で地域を知ることが出来、かつそれを仕事にできる地方新聞社というのが就職先として魅力的に見えたそうです。

「この場所にはどんな人が住んでいて、どんな生活をしているというのを自分で取材しながら知ることができるという点が、とても魅力的に感じました。実はそれまで一度も茨城県に足を踏み入れたことはなかったのですが、就職活動の面接で初めて訪れ、そのままそこで働くことにしました」

 木村さんが地方移住者として特異な点は、「茨城県に縁もゆかりもない」ということです! 就職するまで「茨城県」に一度も足を踏み入れることもなく、また茨城県にルーツや関わりを持つ親族もいないそうです。つまり関係性がまったくないゼロベースで茨城県に移住したのです!!
 

地方移住のメリット・デメリットを整理

 
 木村さんの職場は、土浦駅の近くにあり、茨城県の中ではそれなりに大きい街です。ただ、都会のような慌ただしさはなく、木村さんはリラックスして生活しているそうです。

「筑波山や霞ケ浦が近いので、自然が豊で快適です。地元コミュニティもあり、知り合った60代の方たちと一緒にバーベキューやお茶飲み会をしています。みなさんすごく親切で、お米などもらったりしています」
 

▲雄大な自然が広がる筑波山。空が澄みきっている!!
 
 自然の恵み、コミュニティの親密さは大きな魅力ですが、移住の際はあらかじめ理解しておくべきことがあります。それは、“車社会である”ということです。

「買い物や遊びに行くなど、何をするにしても車は必要です。買い物に行くにしても、他の繁華街が遠すぎるため、だいたい決まった場所で買い物することになります。そして困る事がお酒を飲んだ後、気軽に泊まれるネットカフェも殆どないので、ビジネスホテルか代行に頼るしかなくなります。私も一度深酒をして車中泊をするという失敗をしました(笑)」

 また、地方では街灯の数や遅くまで営業している店舗も都内とは違ってかなり少なくなっています。男性の場合はそこまで気にならないかもしれませんが、女性にとっては気になるところです。

「都内と比べると夜暗くなるのが早く感じます。夜の8時くらいにはもう真っ暗という場所もあります。駅前などの街灯は整備されていますが、それ以外はあまり整備されていないので、女性だと夜道は不安になるかもしれません。あと、やはり自然が豊かな場所なので虫の出現率も多いです。ただ、水戸や土浦、筑波など、比較的大きめの都市を居住地に選べば、それほど不安を感じることもないかなと思います」

 そして、よく地方に引っ越した場合に懸念されるのが、ご近所付き合いです。木村さんが住んでいるアパートなどの新興住宅地は、回覧板や隣組の集まりなどもなく、基本は東京と同じ生活様式なので、ゴミ出しの日などの基本ルールをきっちり守っていればトラブルもないそうです。

「家族で一軒家に生活する場合はまた違った配慮が必要なのかなとは思いますが、若者の一人暮らしならば、そこまで神経質になってご近所付き合いをする必要はないと思いますので、結構気楽で良いです。人見知りやコミュニケーションが苦手な人でも気にならないレベルだと思います」
 

大学生に伝えたいこと「人との出会いを大切に!」

 
 Iターン就職を決めて、一年以上生活している木村さんに移住の心得を聞いたところ「過度に期待しすぎない」という答えが返ってきました。

「県の職員さんやNPOさんの話を聞いても、自分で調べても、それはその地域の一面でしかありません。その場所に住まなければわからないことが沢山出てきます。前もって『こういう生活をしたいんだ!』という強い理想を持って移住すると、理想と現実のギャップに苦しんで、余計に疲れてしまうと思います。これだけは譲れないという条件を最小限に設定し、それ以外は譲歩していく。その姿勢が大事だと思います。あとは、流れに身を任せて、適応していけば良いと思います」

 そして最後に木村さんは現役の大学生に向けて、「人との縁を大事にして欲しい」と伝えます。

「私もたまたま、茨城県の東京渉外局で今の職場の人と出会って、そのまま就職しました。就職活動中は他県の新聞社などの選考も進んでいましたが、一番最初に内定をもらったので、縁を大事に考え、即決しました。行動すると色々な人と出会うと思うので、とにかく、その出会いを大切にしてください。幸せの青い鳥は身近にあるものです。遠くのことに想いを馳せる前に近くにある事柄や人を気にしてみてください」

 サークル、部活、アルバイト、インターン、ボランティア活動などを通じて様々な人と出会うことが出来る大学生活。大学生にはぜひとも「出会い」を大切に! 地方移住に興味のある大学生は、『ふるさと回帰支援センター』などの機関に実際に足を運んでみると、木村さんのように自分の願いが叶う出会いがあるかもしれません。

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