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コロナ禍でさらに加速!? 地方移住に関する問合せ数は10年間で約17倍!「ふるさと回帰支援センター」地方創生の功績

2020.08.28 (金)

 
 2014年9月、政府は東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした一連の政策として「地方創生」を掲げました。経済・社会・環境の三側面に関わる持続可能な開発を統合的取組とした、「SDGs」にも関連性が高い事柄と言えます。そんな地方へのIターン、Uターンを支援している認定NPO法人「ふるさと回帰支援センター」の理事長・高橋公さんに、地方移住がもたらす社会貢献や移住のメリットなどをお聞きしました。
 

周りの反対を辛抱強く説得してNPO設立…そして大きな発展へ

 
「ふるさと回帰支援センター」は、地方へ移住したい希望者とそれを受け入れたい自治体の橋渡しをする目的で2002年に設立されました。当初は日本労働組合総連合会(連合)の呼びかけに農協中央会が応えた形で発足しましたが、現在は全国農業会議所、全国森林組合連合会、全国漁業協同組合連合会、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)、日本生活協同組合連合会、生活クラブ生協、大地を守る会など様々な業界団体が協力しあう大きな組織です。

「このNPO法人は、2007年から定年退職を迎える、いわゆる団塊の世代のふるさと回帰運動として始まりました。私は福島県出身で同世代といえますが、この世代の地方出身者は中学卒業後クラスの半分ほどが、集団就職という形で都会に出ました。連合の三大都市圏の5万人の組合員に、将来に関するアンケートをとったところ、定年後は年金を糧に悠々自適な暮らしを故郷でしたいという方が40%近くいることがわかりました。こうした声、希望を叶えるのも労働組合の仕事なのだと思って始めました」

 元々高橋さんは、連合の政策局長でしたので、本来は企業と働く人の架け橋となり、すべての働く人たちのために、雇用と暮らしを守ることが仕事でした。一見本業とかけ離れた事業になかなか賛同を得られませんでしたが、周りの反対を辛抱強く説得し、2002年にNPO法人を立ち上げました。そして、2009年に大きな変化が訪れます。

「リーマンショックにより雇用が不安定になると、これまでの自民党政権は公共事業でその溝を埋めようとしていましたが、政権交代で誕生した民主党政権は地域で雇用を作ろうと『地域社会雇用創造事業』を提案し、私たちは第一次産業の六次化で雇用を創造しようという方針で、この事業に参加しました」

 これを境に地方の取り組み体制も大きく変わり、2014年には政府は内閣府に「まち・ひと・しごと創生本部」を設立し、予算を付けたことにより、ふるさと回帰支援センター内で開催される地方移住に関するイベントやセミナー回数は格段に増え、昨年は545回の移住セミナーを開催し、5万件の移住相談を受けました。移住希望者や、移住者を受け入れ、地域活性化を目指す自治体の数も年々増え続け、450市町村が参加しています。
 

▲ふるさと回帰フェアの様子(左)。先輩移住者による体験談セミナー(右)
 
「やはり政府が動くというのは大きいですが、我々が「新しい公共」という考え方で地道にやってきたことが花開いているとも言えます。10年前はセンターの利用者が50、60、70代で7割だったものが、現在では20、30、40代が70%以上と逆転しています。これは単純にシニアが減っているという訳ではなく全体的な利用者、特に若い世代が増えている結果でもあります」
 


 

地方自治体と協力関係を構築! 充実した受け入れ体制が魅力!!

 
 相談者の移住の内容はIターンが全体の6~7割、Uターンが3割、それ以外がJターンなどになるそうですが、このIターン希望者の多さは、現状、日本社会において、都会がそれほど魅力あるものに映らなくなったことも影響しています。
 

 
「5、60年前であったら企業に入れば年功序列で賃金が上がっていき、終身雇用で定年まで働けて、退職後も年金が約束されていました。しかし、今は非正規雇用の割合が増え、4割近くになっています。今回のような新型コロナウィルスの影響を受けるのも弱者からです。努力しても報われないなら、自然があり、競争も通勤ラッシュもない地方で暮らしたいという話になりやすくなっていきます。近年の東京は夢が持ち難くなっています」
 
 もちろん、ふるさと回帰支援センターや地方自治体の連携により、良い結果が出ていることも大きな要因です。全国41道府県で、ふるさと回帰支援センターと協力関係にある自治体は、センターが入っている有楽町の東京交通会館にそれぞれ移住相談員を常駐させています。そこでは、移住するにあたって心配なことの相談から、地方に移住して起業した人や農業で新しい生活を築いている人などの成功事例を聞くこともできます。

「センターのできる18年前には、地方に移住するという人はよほどの変わり者か自然回帰主義者かと思われたほどです。それが今では、特別なものではなくなった。その一端を担ったのは我々であると自負しています。今、地方は子育て環境もいいですし、選ばなければ仕事もあります。各自治体の受け入れ態勢は、昔にくらべて遥かに充実しています」
 

▲移住相談の流れ(例)。安心して利用できる態勢が整っている
 
 2020年8月現在、緊急事態宣言は解除されたものの、依然として新型コロナウイルスの感染拡大危機は続いています。センターも4月から休業、6月に再開し、セミナーなど不特定多数が集まるイベントは少なくなり、替わってオンラインによるセミナーが多くなり、6月は、移住などの具体的な相談が約3000件もあったそうです。
 

▲「メール」「電話」「面談」と具体的なアクションを起こしていることから、利用者の本気度がうかがえる
 
「まさに今、価値観が変わる瞬間なのだと思います。これまでは新自由主義による経済優先で効率化を求めた結果、グローバル化が進み、競争を重視した社会になりました。しかし、コロナがそれを壊しました。これは例えコロナが収束しても完全にコロナ前に戻ることはなく、結果として革命と同じような結果、価値観や人生観の変化をもたらすのではないかと考えます。働き方やビジネスモデルだって変わらざるをえなくなるはずです。その位の決意で考えていかなければならないと思います。そして「3密」を克服し“3散”にするために、これに貢献できるのがまさしく地方移住であると思います。地方移住はこれからの大きな選択肢の一つとなっていくでしょう。私は70歳を過ぎていますが、地方移住という価値をさらに広めるためにさらに走り続けたいと思っています」
 

要注意! 地方移住で失敗する人と成功する人の違いとは!?

 
 ただ、地方移住でその土地に馴染めずに失敗して帰ってくる人の話はよく聞きます。こうした事例は、よく調べずに、ひとりで全てを何とかしようと思っている人に多いそうです。

「受け入れ態勢の整っていない地域に行って、いきなりああしよう、こうしようでは、地域に馴染むことはできません。準備が肝心ですし、我々はその受け皿をしっかりもっています。放り出したりはしないので安心してください。また、全国の自治体と連携しているので、受け入れ態勢の出来ていない場所は紹介しません。移住者に寄り添う形でずっとやっています。例えば農業をやりたいといってもいきなりはできない。どんな農作物を作りたいのか、有機栽培でやりたいのか、果樹を育てワインなどを作りたいのか、目的に合わせた研修を受けるシステムもありますので、漠然と農業をやりたいというならば、まずはそうした自治体を案内します」

 若い人はやりたいことをはっきりと言った方が、移住の話はうまくいくことが多いそうです。最後に高橋さんより大学生に向けてメッセージをいただきました。

「自分の価値観にこだわりを持って、自己実現を目指していくという生き方をして欲しいですね。自分とはなんぞやというところにこだわりをもって、世界に出て様々な場所を見てくることもいいかもしません。新しい発見や学びを得ることで自分の可能性を広げ、悔いのない生き方を追求してください。若いということは、それだけ可能性があるということですから」
 

▲ふるさと回帰支援センターにある41道府県2政令市の各ブース。情報が網羅され、すぐに担当者と相談ができる!

ふるさと回帰支援センター

https://www.furusatokaiki.net

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