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「世界水の日」 貧困地域を襲う気候変動の脅威

2020.03.23 (月)

 
 国連が定めた3月22日の『世界水の日』を前に、国際的非営利団体『ウォーターエイド』は2020年3月19日、報告書『気候変動の最前線 2020年 世界の水の現状』を公表した。

 気候変動が世界で最も貧困に苦しむ国の人々が清潔な水を使うことをいかに困難にしているかについて調査し、バングラデシュやマリなど7カ国の実情を紹介している。
 

バングラデシュ 気候変動の影響で地下水の塩分濃度が急上昇

 
 気候変動に対する脆弱性が高い国のひとつに数えられているバングラデシュは、ノートルダム・グローバル適応力指数(Notre Dame Global Adaptation Index)により、気候変動に対し最も脆弱で適応力がない国のランキングで第36位に位置付けられている。人口の3分の2は海抜5メートル以下の土地に暮らしており、常に河川の氾濫や大潮による冠水被害の危険にさらされている。

 そして、バングラデシュ西南部クルナ県のマニクハリ村は、深刻な水不足のため日々の暮らしにも困窮。この村は気候変動の影響が特に大きく、海面上昇によって地下水の塩水化が進んでいるため、清潔な水の確保がますます困難になっている。水の塩分濃度の急激な上昇により、土壌の質や作物の収穫、沿岸部の生物の多様性、村の人々の健康が脅かされている。この水を避けようと思うと、病気になる危険を冒してでも保護されていない川などの水を飲み水に利用したり、 遠くまで歩いて安全な水を探すしかないという。
 

マリ 気候変動の影響を低減するため女性グループが活動

 
 適応力指数で脆弱性が世界第9位とされているマリ。中南部の半乾燥地域にあるセグー州のカクヌソ村では、候変動の影響でどんどん気象パターンが予測不能になっているという。 乾期が以前より長く続くようになり、気温も上昇しているために、 農家の人たちは大きな打撃を受けている。一方で、その影響を低減する取り組みが動き出している。

 ウォーターエイドとパートナーの協力のもと、 地域の女性たちのグループが組織され、代表に就任したマイモウナ・デンベレさん(70歳)や他のメンバーは、村の水源の水位を正しく監視できるように、水管理技術の訓練を受けている。一度は水が干上がり作物も枯れ絶えてしまった土地で、現在は飲み水を確保できるようになり、女性グループは地元の農園で販売用の作物を栽培・収穫している。
 

開発途上国が気候変動対策のために受け取る資金はわずか

 
 適応力指数で脆弱性が世界第23位のエチオピアは、気候変動の緩和策(二酸化炭素排出量の削減など影響の軽減)および適応策のために受け取っている資金は1人当たり年間約0.39ドル(約40円)。
 

 
 開発途上国は気候変動を引き起こす二酸化炭素などの排出量は非常に少ない一方、その影響への備えは極めて脆弱で、そうした国々が受け取る支援の金額もわずかとなっている。また西アフリカのニジェールは、同じ指数で第2位ですが、 気候変動対策のために受け取っている資金は1人あたり年間0.82ドル(約90円)となっている。

 すべての人が、生きていくために水を必要としている。増大する気候変動の脅威から人々を守るには、何よりもまず天候に左右されない安全な水源が必要である。極端な干ばつ、海面上昇、洪水の頻発、強烈な嵐など、気候変動の直接的で広範な影響の多くは水に関連する災害や気象現象として表れ、そのすべてが人々の安全な水へのアクセスを脅かしている。

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