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被災者の方々との出会い

震災から7年、「あの時・今・これから」について考える おちゃっぺ会レポート

早稲田大学3年 ぺき

2018.03.11 (日)

「帰りたいのに帰れない」 避難者一人一人が直面している現実

 今回、お話を聞かせていただいたのは福島県中通りの郡山市、浜通りのいわき市・相馬市・富岡町から東京へ避難されてきた5名の方々。お話を通じ、地震発生から現在に至るまで、5名の方々がそれぞれ異なる7年間を歩まれてきたこと、そして今も尚、報道では伝えきれないたくさんの問題が存在することを実感しました。
 「震災直後に経験したことがトラウマになり、東京に避難した後も当時のことを思い出して、何度もパニック障害を起こしました」
 福島県郡山市から東京へ避難し、現在は国分寺の都営住宅で暮らすMさん。地震の激しい揺れで給水タンクが崩壊し、自宅マンションの天井から部屋に大量の水が流れ込んだこと、そして倒れた家具によって玄関が塞がれ、長時間、暗い水浸しの部屋に閉じ込められたことは、今でも鮮明に覚えているそう。やっとの思いで自宅から脱出し、東京での避難生活を始めるものの、Mさんに提供されたのは、日が殆ど当たらない高層マンションの手狭な一室。震災直後の経験を想起させる「暗い・高い・狭い」という条件が重なり、パニック障害で苦しみ続けていると仰っていました。メディアでは建物の倒壊や放射線の積算量などが多く報道され、私は人の心の傷まで自分の考えが至っていなかったと思います。ただ、Mさんのお話を通じて震災によって多くの人々が心に深い傷を負ったこと、そして今も尚、その傷が癒えずに苦しむ方々が居ることを決して忘れてはいけないと思いました。
 

今では周囲の人たちの支えもあり、少しずつ元気を取り戻しているMさん。おちゃっぺ会の復活を心から喜んでくださいました
 
 ある日突然、住み慣れた故郷から引き離され、東京で生活することを余儀なくされた避難者の方々。福島県とは気候や環境も全く異なり、顔なじみの友人も居ないため、東京での生活には大きなストレスが伴います。ただ、そんな避難者の方々の心の支えになり得るのが、避難先で出会った新たな仲間の存在。
 「東京に来たばかりの頃はこっちに知り合いも居なくて、日々心細さを感じていました。でも、周囲の人が自分を気にかけてイベントなどに連れ出してくれたおかげで、今は友達がたくさんでき、楽しく過ごせています」
 福島県富岡町から、娘さんが住む文京区に転居したEさん。現在は文京区の高齢者クラブに参加し、おちゃっぺ会前日も、仲間と一緒に東京都の輪投げ大会に出場したと嬉しそうに仰っていました。東京でできた友達の話をする際のEさんの明るい表情から、周囲の思いやりや温かい心は、厳しい状況下の避難者の方々にささやかながらも喜びや楽しさをもたらすことを実感しました。
 

おちゃっぺ会が発足した当時からの常連であるEさん。終始優しい笑顔でイベント中も学生たちと接してくださいました
 
 そして震災から7年が経過し、徐々に避難指示解除が進んでいる今、避難者の皆さんは「このまま東京に留まるのか、それとも福島に帰るのか」という大きな選択の岐路に立っています。
 「7年経った今でも、帰るか帰らないか迷っている」
 そう仰るのは、おちゃっぺ会発足当時からの常連で、福島県いわき市から新宿の都営住宅に避難されているTさん。いわき市は現在、避難指示が解除され、帰還可能なエリアとなっていますが、7年が経過した今も、福島に帰るか、東京に残るのか、毎日迷い続けているそうです。
 「福島の家に戻りたい気持ちはあります。でも、年齢を重ねるごとに体調が崩れることも多くなって病院通いになり、田舎での移動手段として必要不可欠な車も手放したため、福島に戻ることは難しいかなと思っています」
 

明るい笑顔が印象的なTさん。苦しい中でも明るく過ごせるよう、様々なイベントに足を運び自分を元気づけています
 
 避難指示が解除されたからといって、震災前と同じ暮らしが現地で保障されているわけではありません。特に福島県の場合、前述したようにまだまだ県外に避難されている方々が多いのが現状です。
 「自分は福島に帰りたいけれど、知り合いや家族はもう福島には居ない。仕方ないから東京で暮らし続けているけれど、いつも地元のことを考えてしまう」
 福島県南相馬市からTさんと同じ新宿区の都営住宅に避難されているYさんは、いつもこのことばかり考え、毎日悩み続けていると仰っていました。Tさんの言葉からも分かるように、「福島に戻るのか、東京に留まるのか」という選択は避難者本人の意思だけで決断できるものではなく、家族や住んでいたエリア、地域コミュニティの状況など、様々な事情をはらんだ複雑な問題であることを痛感しました。
また、今回のおちゃっぺ会にはもともと住んでいた福島県浜通りの富岡町に家を建てると決め、近々町の様子を見に行くという方もいらっしゃいました。さらに、おちゃっぺ会発足当時の参加メンバーの中には、既に福島県に戻り、地元とは異なる他地域にできた住宅で生活を始められた方も多いそうです。同じ福島県出身でも今まで経験されてきたことや考え方は一人一人違います。今回のおちゃっぺ会を通じ、震災で被害に遭われた方々を“避難者”“被災者”とひとくくりにして説明することは出来ないと実感しました。

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