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“野鳥のコーラス”激減、日本の野鳥生態系が危機的状況!? 専門家が警鐘

2017.11.08 (水)

 日本国内の野鳥環境について、公益財団法人日本生態系協会会長で野鳥を専門分野としている池谷奉文氏は、「危機的な状況」と警鐘を鳴らす。

「野鳥数の推移で具体的な調査結果はないが、江戸時代の頃が本来の数とされています。この頃は生態系が保たれていました。今から30年ほど前までは、浅間山麓、富士山麓、北海道の3箇所だけに、日本の本来に近い数の野鳥がいましたが、それも今では壊滅的です」。本来の生態系であれば、国内の森林で、朝4時半〜5時までの30分間、数十種類の野鳥が一斉に鳴く“野鳥のコーラス”があったという。

 環境省が2017年に発表した「環境省レッドレスト2017」によると、国内で絶滅したと考えられる鳥類はダイトウヤマガラ、キタタキなど13種、野生絶滅はトキ、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの(絶滅危惧種IA類)は、ハクガン、ヤンバルクイナなど23種。絶滅の危機が増大している(絶滅危惧II種)は、アホウドリ、ミゾゴイ、ウズラ、ハヤブサ、オオワシ、マナヅルなど43種となっている。

 野鳥においての「生態系」とは、どのようなピラミッドなのか?
 

画像:公益財団法人日本生態系協会

 まず、土壌があり、その土壌の中に微生物が生息。さらに土壌の上に植物(生産者)が育ち、植物には第一次消費者である昆虫が寄ってくる。その昆虫を食べる第二次消費者であるカマキリやカエルたち、そしてカエルたちを食べる第三次消費者である小鳥などの小型・中型鳥、最後にピラミッドの頂点であり、第四次消費者のワシやタカ、これが生態系ピラミッドである。

「今現在、生態系が崩壊し、“野鳥のコーラス”は全国で減少。どこの森も閑散としている。ここまで野鳥が減少した主な理由は、2つある。“禁鳥制度の廃止”と“日本列島改造”あたりからの経済優先の開発だ」

 そもそも江戸時代には、無断で鳥類を捕獲してはいけない禁鳥制度が設けられ、鳥類はかなり保護されていたが、明治維新をきっかけに禁鳥制度が廃止。野生鳥獣の乱獲が一気に進み、野鳥の数が減少したとされている。

 次に「日本列島改造論」。第64・65代内閣総理大臣の田中角栄が1972年に「日本列島改造論」を発表。日本列島を高速道路、新幹線などの高速交通網で結び、過疎の弊害を是正。“人・モノ・カネ”の流動化も進み、地方の工業化も促進した。

「日本列島改造からの経済優先が、環境に大きな影響を与えた。人々の暮らしは豊かになりましたが、道路などの交通網を整備したことで、森林が失われてしまった。自然そのものを破壊してしまった。それから今も野鳥は減り続けている」
 

生態系が崩れている象徴は「カラス」

 

 
 まず、池谷氏は「なぜ、カラスが増えたか、わかりますか?」と問いかける。

 カラスは有害鳥獣に指定されている。数年前から都市部を中心に、人を襲う、ゴミを食い散らかす、鳴き声による騒音などの「カラス被害」の報告が数多くされている。自治体ではカラス対策として、殺虫剤、黄色いゴミ袋(カラスが苦手の色)、カラス捕獲BOXなどあらゆる手を打っているが、カラスも利口なため、なかなか一筋縄ではいかないのが現状。箱罠による捕獲で、カラスを捕まえて殺処分しているところもある。

 池谷氏によると、第四次消費者であるタカやフクロウが生息する森を破壊したため、タカやフクロウがいなくなってしまい、第三次消費者であるカラスが生態系で頂点に君臨してしまったという。

 「解決策は、タカやフクロウのいる森を再生すること。そうすれば、カラスの数は減り、適切な生態系のバランスに戻る。都市計画の誤りによってカラスが増えた。自然と共存できる環境や街づくりをすることが大事」
 

出典:国土交通省関東地方整備局ホームページ
 
 まず、核となる自然生態系を構築した環境を何箇所か作り、それを結んでいく。これを「エコロジカルネットワーク」と呼ぶ。

 池谷氏は「カラスが『あなたたちの街づくりが間違っていますよ』と警鐘を鳴らしているんです。カラスがせっかく赤信号で知らせてくれているのに、人間側が無視している。タカやフクロウが生息する自然を再生し、エコロジカルネットワークを構築すれば、自然と共存する街ができる。そうすれば自ずとカラスを殺す必要はなくなる」と説明した。
 

「自然=緑」は大間違い、生態系の存在が重要

 

 
 「自然と共存する街」…「自然」とは一体何だろうか。「自然=緑」だと認識する人も多いかもしれないが、厳密には「自然」は「緑」とイコールではないようだ。

 池谷氏は「日本は『緑化』、『緑』って言うんだけれども、『自然化』とは言っていない。最大の問題は、そこに生態系があるかないか」と強調する。

 日本は国土の68%が森林であるが、池谷氏は「68%の中身が問題。森林もスギやヒノキなどで、遺伝子が少ない。そこは生物多様性になっておらず、生態系が貧弱。日本の森林は単純林が多いため、緑はあるけども自然がない」と指摘する。

 自然と共存する街づくりをすることで生態系を取り戻す。これから、「エコロジカルネットワーク」をどのように構築していくかが、カギとなりそうだ。

公益財団法人日本生態系協会

http://www.ecosys.or.jp

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